わが大学の先生と語る「中川先生の推薦図書」


『アイヌ神謡集』
知里幸恵
岩波文庫/定価638円(税込)
購入はこちら > アイヌが初めてアイヌ語で著した本。動物神や人文神が自らの体験を語る神謡と呼ばれる物語13編を収める。今年は19歳で亡くなった幸恵の没後百年に当たる。百年を経てなお刊行され続ける永遠のベストセラー。

『コタン生物記 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』
更科源蔵、更科光
青土社/定価(各)2,200円(税込)
購入はこちら > 道東出身の詩人である著者が全道を巡って古老たちから聞き録った、アイヌの動植物についての言い伝えや物語等の集大成。とり上げられた生き物たちの数に驚く。著者の本以外では知ることのできない地域の伝承が満載。

『アイヌと神々の物語』
萱野 茂
ヤマケイ文庫/定価1,210円(税込)
購入はこちら > アイヌとして初めて国会議員になった萱野茂がその足で録音した大量の音声資料から、ウエペケと呼ばれる物語を日本語訳したもの。毎話ごとにある文化的な解説も大変役に立つ。姉妹編の『アイヌと神々の謡』も必読。

『ハルコロ 1・2』
石坂啓=漫画<本多勝一=原作/萱野茂=監修>
岩波現代文庫/定価(各)1,430円(税込)
購入はこちら > 15世紀の北海道を舞台にした、登場人物が全員アイヌという漫画。本多勝一原作、萱野茂監修ということで、アイヌの歴史文化描写の正確さは保証済み。原作よりドラマ性が高く、石坂啓(女性)の絵柄も魅力的。

『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』
中川 裕
集英社新書/定価990円(税込)
購入はこちら > 野田サトルの人気漫画の絵をふんだんに使いながら、アイヌ文化の基本知識を解説した入門書。漫画の読者には作品への理解をさらに深める役にたち、読者以外には漫画を利用してわかりやすくアイヌ文化への導入を行う。

『アイヌの物語世界』
中川 裕
平凡社ライブラリー/定価1,540円(税込)
購入はこちら > 神謡、散文説話、英雄叙事詩というアイヌの物語の三大分野について、面白さ、その特徴、代表的な話などをわかりやすく紹介したもの。改訂版では現在のアイヌの活動に関する部分に、新しい知見が加えられている。

『アイヌの真実』
北原モコットゥナ<谷本晃久=監修>
ベスト新書/定価1,430円(税込)
購入はこちら > 題名はなんとなくいかがわしいが、中身は優れたアイヌの歴史の入門書。北原氏は樺太アイヌの血を引く北大准教授。谷本氏は北大教授。二人のエキスパートの監修で、アイヌ自身の視点から斬新なアイヌ史が描かれる。

『民族衣装を着なかったアイヌ』
瀧口夕美
SURE/定価2,750円(税込)
阿寒というアイヌ観光の地で生まれ育った著者は、自分の母親や、樺太の少数民族ウイルタの女性との対話を通じて、自分のアイデンティティを模索する。アイヌの現在を内側から真摯に見つめた貴重なルポルタージュ。
※この本に関するお問い合わせはhttps://www.groupsure.net/へ。
P r o f i l e

中川 裕(なかがわ・ひろし)
1955年生まれ、神奈川県出身。
千葉大学 名誉教授。
1984年東京大学大学院人文科学研究科言語学専門課程(博士課程)退学後、東京大学文学部言語学研究室助手に着任。1985年千葉大学文学部文学科講師、1987年同助教授、1999年文学部日本文化学科教授、2011年大学院人文社会科学研究科研究科長、2016年文学部人文学科教授、2017年人文科学研究院教授。
2021年千葉大学定年退職。現在は千葉大学名誉教授。
■著書
『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館 1995)、『アイヌ語をフィールドワークする』(大修館書店 1995)、『アイヌの物語世界』(平凡社ライブラリー1997)、『エクスプレスアイヌ語』(中本ムツ子と共著、白水社 1997)、『カムイユカでアイヌ語を学ぶ』(中本ムツ子と共著、白水社 2007)、『アイヌ語のむこうに広がる世界』(SURE 2010)、『語り合うことばの力─カムイたちと生きる世界』(岩波書店 2010)、『ニューエクスプレスアイヌ語』(白水社2013)、『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』(集英社 2019)。
 

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