1980年に、アメリカのミサイル基地で起こった核ミサイルの暴発事故を信じられないほど精密な調査によって明らかにする。核兵器の恐ろしさは、その使用だけではない。暴発、誤爆、そして管理者の精神的破壊など、保持すること自体がもたらす危険である。シュローサーが挙げる多数の核兵器事故の多くは、ほとんど偶然によって大惨事を免れていることに戦慄を覚える。
アメリカにバナナを普及させたユナイテッド・フルーツ社。パナマ、コスタリカ、ジャマイカ、グァテマラなど、中南米で彼らは、暴力をふるってバナナプランテーションの労働者たちを弾圧し、バナナを枯らす病気が出ると、それを捨てて別のプランテーションを建設した。文字通りのバナナのダーク・ヒストリー。
ページを繰るのがやめられない。四人の人間を射殺した永山則夫が心を許した鑑定担当の心理学者に語った自分の生涯。ほとんどの「凶悪犯」がそうであるように、永山もまた膨大な時間における暴力、無視、親による遺棄という被害の連続の中においてようやく取り返しのつかない加害が浮かび上がる。
一度読んでしまうと頭からこのテーマが離れなくなるので要注意。芥川の「食べちゃいたい」という言葉がどうにも離れなくなる。マルサス『人口論』が問題とした性欲と食欲の問題を、思想的課題として引き受けた冒険の書。
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