読書マラソンWEB版

湊かなえ 著 『Nのために』双葉社

全国大学生協連 常勤学生委員 中村洋平

 

著者:湊かなえ
出版社:双葉社

彼女のデビュー作である「告白」が有名になって以降、読んだ後嫌な気分になるミステリー、いわゆるイヤミスという言葉が流行しています。今回紹介する「Nのために」もそのイヤミスの要素を含んだ作品です。
-東京都にある高級マンションの48階の一室で商事の社員とその妻の死体が見つかった。現場にいた4人の証言に大きな矛盾はなく犯行を自供した証言者の1人が10年の懲役に服すことになった。しかし、事件の裏には証言者4人それぞれが“Nのため”を想って行動しており・・・

 普段からあまり本を読まない私でも、湊かなえの作品は「告白」をはじめいくつか読了しています。彼女の作品の登場人物の多くは、なにかしらの「闇」を抱えおり、登場人物それぞれの「闇」が物語にも大きく影響しています。その「闇」が人格の形成に関わっていてそれが行動に表れているんだと思うと、どの登場人物も憎むに憎めません。そう思いながら「Nのために」を読み進めた私も立派なイヤミスの虜なんだと思います。

 読み終えたあと、これはミステリーでありながらラブストーリーの要素を含んだ作品でもあると思いました。イヤミスを体感したい方だけでなく、愛し合う男女が手と手を取り合うようなラブストーリーに飽き飽きしている方にもおすすめの一作です。

全国大学生協連 常勤学生委員
中村洋平