読書マラソンWEB版

川村元気 著 『世界から猫が消えたなら』小学館

全国大学生協連 常勤学生委員 千葉結花

 

著者:川村元気
出版社:小学館

自分の命と引き換えに、あなたは世界から何を消しますか?

本屋でタイトルを見て、猫好きの私にこの質問は酷だろうと思いながら吸い込まれるようにこの本を手にした。もし猫が消えたら私の身の回りの猫グッズはどうなるのだろうか。

 郵便配達の男とその人生に関わった人、もの、言葉のお話。死を宣告された男の前に登場したのは同じ姿で性格が真逆の自分。「アタシ、悪魔。この世界からひとつだけ何かを消す。その代わりに、あなたは1日の命を得ることができる。」そんな悪魔と男の一週間。
ひとつ消す度に思い出す気持ち、言葉、人。人生で大切なことを教えてくれる優しい本。

 読み終わって、気付いたら涙がボタボタ。ポロポロでもなくボタボタ。もし自分だったら…と思いながら読み進めていく。”あなたもうすぐ死ぬよ”といわれて人間が最初に思うことってなんだろうか。家族?好きな人?友達?仕事?そして、命と引き換えに…といわれて何を選ぶのだろうか。例え消したいものを見つけても、消してから後悔する。どんなにガラクタといわれても、そのものが生まれたことには意味があって、必要とされてこの世の中に存在しているのだから。それを私の判断で勝手に消していいのか。人生も一緒。もはや思い出せない記憶でも、それは思い出で、決して消していいものではない。嫌なことも、いいことも、均等にあるから人生って素晴らしい。こんな風にどっちにも偏っていないから今生きているわけで。そんな人生だから、一回きりだから、大切なことは忘れず大事に生きていきたいものだ。

 毎日がつまらない、ちょっと人生に疲れた人へ、温かい飲み物とこの本はいかがですか。心の隙間、埋めてくれますよ。

全国大学生協連 常勤学生委員
千葉結花