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『天災から日本史を読みなおす』 著:磯田道史  出版:中公新書

全国大学生協連 2015年全国学生委員会執行役員 渡邊花

 

磯田道史著 
『天災から日本史を読みなおす』 
出版:中公新書

2011年の東日本大震災や、昨年の広島の土砂災害、御岳山の噴火も私たち大学生にとって記憶に新しい、大きな天災であるだろう。また、2015年1月17日は阪神淡路大震災から20年が経過した節目の年でもある。私たちは改めて日本がどのような歴史を歩み、天災と向き合ってきたのかを学ぶことが必要であろう。

本書の面白いところは、日本史を天災という切り口で考察する中で、その時代の知恵や考え、生活が見えてくるところである。興味深かったことと言えば、“天水桶”と呼ばれる水が入った桶から水がこぼれる程の地震であれば、将軍のご機嫌伺いにいかなければならないという記述や、戸が外れる程の地震であれば外に出て避難することと基準を設けている文献もあった。これまで学校で習ってきた日本史を天災という切り口で読みなおすことで、新たな日本史の一面を発見できるところが一風変わって面白い。

もちろん、本書の狙いである「現代を生きるために過去をみる」ことも忘れていない。昔の人は当時起きたことを事細かに書き記していることに感心する。今のような正確な数値が出ず、速報が画面に表れることもない。そのため、自然の脅威に注意を払い生きてきたことがよくわかる。天災に限らず、いつどのような脅威が私たちに迫るのかは分からない。殺人事件も、テロも、戦争だってそうだ。過去から知恵をもらうことで、助かる命がきっとあるのではないだろうか。

全国大学生協連 2015年全国学生委員会執行役員
渡邊花