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『原因を推論する 政治分析方法論のすゝめ』 著:久米郁男 出版:有斐閣

2015年度全国学生委員会・執行役員 井上裕也

 

久米郁男著『原因を推論する 政治分析方法論のすゝめ』 有斐閣

「戦後の日本で投票率が低下」という一つの結果がある。それに対して、TVに映る偉そうな人が「政治不信の高まり」という原因によって説明する。そんな話を聞くと私たち「日本の投票率が下がっているのは、政治不信が高まったからだ」「総理大臣もコロコロ変わっているし…」となんとなくわかった気になってしまう。

一方でその説明に真っ向から疑問を投げかけることができる人もいる。そんな人は「原因を推論する方法」すなわち「その結果が生じる原因を説明するときの作法」を身に着けている人たちだ。その人たちは「政治不信が高まったからだ」という説明に「いやいや、投票率が上がったときに、政治不信が低下したとは報道されないじゃないか!」と批判を加える。そして、より正確な説明を作法によって導き出そうと試みる。

本書はこの説明の作法が「小学校の理科の時間」のような誰にでも理解できるものだと教えてくれる。同時に、それを現実社会の様々な現象の説明に応用することの難しさと奥の深さを豊富な具体例を通じて知ることができる。

学問から得られた知識を知るのではなく、その知識を得る学問の方法を知ることこそ、自分で考えることの入口なのかもしれない。

2015年度全国学生委員会・執行役員
井上裕也