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『ソフィストとは誰か?』 著:納冨信留 出版:ちくま学芸文庫

2015年度全国学生委員会・執行役員 菊池愛梨

 

『ソフィストとは誰か?』 著:納冨信留 出版:ちくま学芸文庫

『ソフィスト』-この単語を見て、みなさんは何を思い出すだろうか。高校の勉強を思い出す人、聞いたことがないので興味を持たない人、様々だろう。
『ソフィスト』とは、前5世紀のギリシア世界で名声を誇った職業名のことである。彼らは、「哲学」という考え方に対して始めから批判的に関わりながら、当時の市民たちに新たな思想と言論の技術を与え、彼らを知的好奇心の渦に巻き込んだ。しかし、現在では辞書やネットでこの単語を調べると「詭弁化」、話すのは上手であるがそこに中身が伴っていない様子などという、お世辞にも名声のあるとは言えないような解説が並ぶ。当時、市民から華やかに思われていた『ソフィスト』たちが、現代となって悪く思われていたり、存在自体を忘れられていたりするのは一体何故なのだろうか。

本書は、「哲学者」と「ソフィスト」の知的行為の対比をゴルギアス、アルキダマス、プラトンという具体的な人物を例に挙げながら読み解き、そこからソフィストという存在が現代にいたるまでに忘れ去られた原因を追究する。そして、真の哲学とは何か、私たちがソフィストをどう見ていくべきかについて言及していく。

私は、「ソフィスト」という言葉は高校で学習した程度にしか存在を認知しておらず、哲学そのものへの興味はなかった。しかし本書の中で、私含め現代を生きる人間がこれほどにしか「ソフィスト」に対する知識がないのは何故なのか、そもそもその原因は、歴史が動く中で必然だったのではないか、という今の自分の認識に対する問題意識・疑問を投げかけられ、非常に興味深く読み進めることができた。

少しでも「ソフィスト」という単語を知っている人にはもちろん、彼らの存在を全く知らなかった人にも是非手に取って読んでほしい。

2015年度全国学生委員会・執行役員
菊池愛梨