読書マラソンWEB版

『昨日は彼女も恋してた/明日も彼女は恋をする』 著:入間人間 出版社:メディアワークス文庫

山形大学 八木智史

山形大学 八木智史

『昨日は彼女も恋してた/明日も彼女は恋をする』
著:入間人間
出版社:メディアワークス文庫

小さな離島に住む僕と車いすに乗る少女・マチが主人公の話です。僕とマチは9年前の あることが原因で不仲になっています。ある日、僕が親しくしている自称天才科学者、松原に二人は呼び出され、いわれるまま改造された軽トラにのり、外に出ると向こうから自分の足で走ってくる『小さいマチ』を見つけ9年前に来たことに気づきます。

「今も坂道ですれ違ったのに声もかけなかった。」 
「今も横を通りすぎたけど見ないフリをする。」
そんなこじれてしまった二人が織りなすタイムスリップの話です。

私は本屋でこの本が目についてあらすじを読み、気になり読み始めました。
この作品は二人の主人公の視点から交互に描かれています。二人の視点で描かれることで読者は神様のような視点から物語を読み進めることができます。
内容はただのタイムスリップものかと思いながら読んでいると、「ミスリード」と言われる読者にあえて誤読させる技法が盛り込まれているため最後にどんでん返しが待っています。  
これが映画や漫画では表せない小説ならではのおもしろさであり私がこの本を勧める一番の理由です。
また、自分のためにではなく誰かのためにどこまで犠牲にできるか、神様の立ち位置ではなく是非登場人物に自分を置き換えて読んでみてください。最後まで読み自分も登場人物と同じ選択をするという方は私まで御一報を。

山形大学
八木智史