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『絶望の国の幸福な若者たち』著:古市憲寿 出版社:講談社

和歌山大学 伊東潤哉

和歌山大学 伊東潤哉

絶望の国の幸福な若者たち

『絶望の国の幸福な若者たち』著:古市憲寿 出版社:講談社

「なぜなら、日本の若者は幸せだからです」これが今の若者が不幸に立ち上がらない理由であるという。確かに、それなりに便利なものが身近にあれば、それなりに幸せに生きることができてしまう。普段から「これだからいまどきの若者は」と言われるように、私たちは世間から勝手に現代の若者像を決められる。しかし、その曖昧で偏りがある捉え方に対して、若者は疑問を抱くことはなく、むしろ納得してしまっているのだ。私もその1人であるということに気付かされた瞬間だった。

この作品の中では「若者は本当に不幸なのか?」という疑問をもとに、歴史の変遷の中で若者に対する評価がどうであったかを明らかにし、現代の若者との関係を見ている。そして、現代の若者と周囲の環境についての話題に拡張される。劇的な社会の変化の中で生まれ育った現代の若者たちは経済の大打撃と便利の獲得という矛盾した社会に混乱する。こうして若者は自分の幸せを支える基盤自体(日本)が揺らいでいるという不安を抱えながら生きているのである。とは言うものの若者は日本の社会に対してどれほど興味があるのか、最終的に若者はどう立ち上がっていくのかを示唆している。

私はこの作品を読んで、「なんとなく分かってはいるが、本当のところはよくわからない」といったものはよくあるということに気付いた。そして、インターネットで調べれば、簡単に情報は手に入るが、それによって真実を知ろうとする探求心が失われつつあることに気付かされた。本当はもっと大事なものや幸せがあるはずなのに、それを知らずにいるのは悔しくはないだろうか?私はなんとなくの捉え方とそれなりの幸せに満足するのではなく、少しでも深く知ろうという姿勢で生きていきたいと思う。

和歌山大学
伊東潤哉