読書マラソンWEB版

『記憶屋』著:織守きょうや 出版社:角川ホラー文庫

松山大学 田中玲衣

松山大学 田中玲衣

記憶屋

『記憶屋』著:織守きょうや 出版社:角川ホラー文庫

生協ショップで、何か面白い本はないかなと探しているときにこの本に出会いました。タイトルがとても印象的だなと思い手に取ったのを覚えています。普段から怖い話がとても苦手なので、めったにホラー文庫は読まないのですが、正直ホラー文庫だと気づかないまま、この本を購入し、読み始めました。

「記憶屋は、忘れたいことがある人の前に現れて、忘れたいことだけを忘れさせてくれるんだっ て。忘れた人は、忘れさせてもらったことも全部忘れて、悪い思い出は全部なかったことになるんだって」
 みなさんは忘れたい記憶や忘れてほしい記憶はありますか。私はこの本を読んで自分の忘れたい記憶を考えたとき、そう思う出来事は必ず誰かとつながっている出来事だと気づきました。私の記憶は、誰かと出会った軌跡であり、紡いだものなのだと気づきました。また、人の人格が記憶や経験によってしてつくられたものだとすると、繋がってきた軌跡が記憶を紡いて、今を生きる私を作ったということになります。
この本が投げかけてくることの一つに「忘れることは良いことか、悪いことか」という問いかけがありますが、これに対して一概にこうだ、と言い切ることはできません。

ですが、私にはこの軌跡が、とても愛おしく思えました。

みなさんはどう考えるでしょうか。
忘れたい記憶を忘れてしまえるとしたら、忘れることが良いことなのが、悪いことなのか、ぜひ考えながらこの本を読んでみてください。

松山大学
田中玲衣