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『西洋美術史入門』著:池上英洋 出版社:筑摩書房

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三重大学 田中 利佳

表紙

『西洋美術史入門』著:池上英洋 出版社:筑摩書房

美術鑑賞が好きで、大学では美術史を専攻している。

美術って年齢を問わず知識の有無を問わず、誰でも楽しめるものではないだろうか?と前々から思っていた。文字の読めない小さい子でも楽しめるし、作品を見てなんとなく“あ、これいいな"と感じるだけでもよい。それが美術の良さだと今もそう思っている。

しかし、講義で教科書に指定されたこの本に出会い、読んで「知識があると、美術はもっと楽しめる」ということに気付いた。
例えば、シャボン玉。すぐに消えてしまうことから「はかなさ」という意味を込めて絵によく描かれた。そうすることで、人はいつか死ぬのだと人々に意識させ、それに備えて毎日神に祈り正しく生きましょう、と言い聞かせたのだ。
描かれた背景やモチーフの意味を知ると、その作品に込められた意味や当時の人々の考えが見えてくる。面白い、知らないともったいない!と思った。
勿論、美術の楽しみ方は人それぞれである。意味を知るより構図や配色を見る方が好きな人もいるし、解釈は見る人にお任せします、という作品も存在する。しかし、私は“いいな"と感じるだけでなく、もっと作品の奥深くまで潜ってみたいと思うようになった。なぜその作品が生まれたのだろうか。その作品は当時の人々にどんな影響を与えたのだろうか。そこまで追究したくなった。

さて、今年も全国各地で美術展が開催されている。
美術鑑賞をもっと奥深く楽しみたい人に、この本をおすすめする。

三重大学
田中 利佳