読書マラソンWEB版

『走れ病院』著:福田和代 出版社:実業之日本社文庫

神戸大学 内藤晃太郎

表紙

『走れ病院』著:福田和代 出版社:実業之日本社文庫

ただの医療小説と思いきや、人の温かさ、主人公の行動力、ハラハラ感、いろんなものを味わえる一冊。経営に、医療に興味がある人はもちろん読み終えたときに誰もが心温まる一冊です。


まあ、よくある医療小説かな。
医療に興味があるから手にとってはみたものの、こんな気持ちで読み始めた。

もちろん、医療小説という側面は大きい。病院長である父を亡くした主人公が3か月限定の病院理事に就任し病院経営の立て直しに奔走する物語だ。病院経営のシビアさ、現在の医療が抱える問題などにも触れ、医療に興味のある人にとってはこの部分はかなり興味深く読める。僕自身経営学部、しかも身近に医療に携わっている人がいるということもあり、こうした病院経営に関する文章は非常に面白く読めた。。

しかしこの小説を読んで感じられるものはミステリーっぽさもあるハラハラ感、主人公の行動力への敬服、そしてなにより人の温かみなど様々だ。さまざまに起きる病院内での問題の黒幕は誰なのか、推理しながら読むのもよし、主人公に自分を重ね合わせて自分だったらこんなに行動できるだろうかと思いながら読むのもよし、人と人との関係性に注目して温かみに触れるのもよし。医療面からも含めて、様々な切り口から楽しめる小説になっている。

ただの医療小説だと思って読み始めたら、最後にいい意味で大間違いだと気づくはず。

神戸大学 内藤晃太郎