読書マラソンWEB版

『あん』著:ドリアン助川 出版社:ポプラ文庫

福島大学 須田浩之

表紙

『あん』著:ドリアン助川 出版社:ポプラ文庫

この本はお世話になった先輩から頂いたもので、この読書マラソンの機会に読んでみました。私自身あまり本を読む習慣は無く、本にしっかり向き合うこと自体が久しぶりでした。それでもこの物語は抵抗なく読むことができました。

先ほど抵抗なく読むことができた、と書きましたがそれは私が好きなあんこやどら焼きが作中に出てきたからかもしれません。

この物語は、どら焼き屋さんを営む店主が主人公です。お店は決して繁盛しているとはいえず、店主もどちらかといえばぱっとしない中年の男性です。ぎりぎりに切り詰めた生活を送っていて、どこか「生きる意味」を失ったような目をしていた店主。そんな店主の元に、ふらっと一人の老婆が訪れます。店主と老婆が関わる中で、物語は核心へと向かいます。

この本のメインはあんこだったり、どら焼きのお話か、と言われると全く異なります。私はこの物語を読んで、人間の「生きる意味」や「偏見・差別」について深く考えさせられました。どら焼き屋さんと「偏見・差別」。全く連想できないですよね。だからこそこの本はとても読み応えがありました。
「偏見・差別」は未だに日本に残っているもので、現代社会に生きるこの国の人たちが全員知らなければならないことだと感じました。

丁寧に炊き上げられるあんこの麗しさの如く、とても美しいお話です。
文庫本ですので、3時間ほどあれば読める量です。
あんこ好きな方でもそうでない方でも、多くの方にこの本を手にとってもらえることを願っています。

福島大学 須田浩之