読書マラソンWEB版

『世界から猫が消えたなら』著:川村元気 出版社:小学館

九州国際大学 林 藍美

表紙

『世界から猫が消えたなら』著:川村元気 出版社:小学館

「世界から猫が消えたなら」この作品が映画化されるということで興味をもち、手に取りました。この作品の中では主人公の生きることと、自身の人生の中でたくさんの影響を与えてくれたもの、どちらかを選択しなければいけない葛藤が描かれています。単純に考えれば生きることは何よりも重要で、作中で挙げられる電話や映画、時計や猫はなくなっても仕方がないと考えられるのかもしれません。ですが、人生に大きな影響を与え、娯楽と豊かさを与えてくれるものをすべて切り捨てたとして本当にそれは生きているといえるのでしょうか。この本を読んで一番に感じたことは生きるとは、身の回りの様々なものから影響を受け、ものを通じて人と関わりを持ち人生を豊かにしていくことではないかということです。

ものがたくさん沢山溢れている今の世界から映画や猫が消えたとして、誰かの命が失われてしまうわけではないのかもしれません。ですが身の回りにあるものや、人から多くの影響を受け関わりを持つことで初めて生きていると実感しながら生きることができるのではないでしょうか。このことを作中では、温かい家族や友人たちと関わってきた人生を主人公が振り返ることで気づくのです。  

私の身近にも、消えてしまっても問題はないけれど人生が変わってしまうものがたくさんあるのではないかと考えるきっかけをこの作品は与えてくれました。自分の身の周りにあるものや関わり合っている人が、これからの自分の人生にどんな影響を与えてくれるのか見つめてみることから始めてみようかと思います。

九州国際大学 林 藍美