読書マラソンWEB版

『キッチン』著:吉本ばなな 出版社:角川文庫

2017年度全国学生委員会・理事(神戸市外国語大学卒)
升本 有紀

表紙

『キッチン』著:吉本ばなな 出版社:角川文庫

みなさんの愛読書はなんですか?

『キッチン』は小学生の時に読んだのが最初で、それから何度も、ちょっと心が疲れたときに本棚から引っ張り出して読んでいます。

唯一の肉親であった祖母を亡くしたみかげは、祖母と仲が良かった、1つ年下の雄一とその母親のえり子さんの家に同居することになります。2人と過ごす中で、みかげは心を和ませていき、また、雄一とえり子さんが抱えていることや優しさや強さを知っていきます。
3人の生活の中に、生きることや哀しみや愛しさが、直接的な言葉ではなくて、様々な表現で切なくしっとりと描かれています。
読むたびに新しい気づきがあったり、感じなかったことを感じたり、考えたりすることが増えていってちょっと大人になった気がします。

私の瞳を通して、胸の深いところにある熱い塊が彼に澄んだ質問をする。まだ今のうちは、私に心が残っているかい?「しっかり生きろよ。」彼は笑い、細めた瞳にはまっすぐ答えが宿っている。「はい、心がけます。」私は答え、手を振って別れた。(宗太郎・みかげ)

彼にとっての万年筆と彼女にとってと、全然質や重みが違ったのだ。世の中には万年筆を死ぬほど愛している人だっているかもしれない。そこが、とっても悲しい。恋さえしていなければ、わかることなのだ。(みかげ)

人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことがなにかわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。(えり子)

3つ目は、そんな経験したことないなーって、心にすっと入ってこないけれど、いつか何か感じる時が来るのかな。

1冊の本を時間を空けて読むのも楽しみ方の1つだし、自分の心の成長を見られるいい機会だと思いました。

2017年度全国学生委員会・理事(神戸市外国語大学卒) 
升本 有紀