読書マラソンWEB版

『奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』
著:石川拓治 出版社:幻冬舎文庫

2018年度全国学生委員会・執行役員(北海道大学)
中山 拓登

表紙

『奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』著:石川拓治 出版社:幻冬舎文庫

 大学では農学部で学び、「持続可能な作物生産と人間活動」を研究してきた人としての興味がこの本を読み始めたきっかけです。無農薬のリンゴをつくることが、農業を少しでも勉強した人にとって見れば「非常に困難であること」は明らかであり、どのような話が展開されるのか、ドキドキしながら読みました。この本で主役である木村さんが「何を想い、行動したのか」を時間を追うように書かれています。木村さんの行動の根拠として、農業知識の補足がところどころに存在し、自分がこれまで学んできたことを思い出しながら読んだことも、今回の選書で個人的におもしろかったことです。

 読みながら印象に残ったことは2つです。

 ひとつは、私たちは自然の中で生きているということ。人間が自然を生かしてあげるのではなく、自然の中で調和を取りながら、ひとも植物もすべてのものが生きているからこそ、今の生活があるということを実感します。そして、農業だけでなくすべての人間活動は果たしてどうあるべきなのかを考えさせられます。

 もうひとつは、自分の考えを貫くとはどういうことか。自分を信じること、時に疑うこと、家族をはじめとした周囲の人たちとどのように生きていくのか、夢を追いかけながら生きていくこれからの人生において大切なことは何かを考えるきっかけが木村さんの行動ひとつひとつにあります。

詳しくは、ぜひこの本を読んでみて、自分のこれまでの人生、特に熱中しながら行動してきたことを思い出しながら考えてみてほしいと思います、

 最後に、今回の読書をひとことで言うならば、「学問を深めるための読書」。そして、学問を切り口に「自分の生き方を考えること」。本を読むことで「自分の人生を豊かにすること」を少しだけかもしれませんが、実感できた1冊です。

2018年度全国学生委員会・執行役員(北海道大学)
中山 拓登