読書マラソンWEB版

『食堂かたつむり』著:小川 糸 出版社:ポプラ文庫

津田塾大学
池上 味花

表紙

『食堂かたつむり』著:小川 糸 出版社:ポプラ文庫

 食事というものは、人が生きていくにあたってとても大切なものである。私はこの本を読んで、改めてそう感じた。この本では、「食事」を通して様々な繋がりの愛情が描かれていた。家族、親子、恋人、友人、そして人と動物。その一つ一つが繊細で、しかし強く、美しいものであった。物語の舞台である「食堂かたつむり」では、料理を作る側の想いや食べる側の想い、食材の想いが一つになって初めて食事が形成されていた。また、作中で作られる食事は全て魅力的で、純粋に自分も食堂かたつむりに行ってみたいと思った。
 大切な人と食事をしたら、美味しいものがより美味しくなる。そのようなことを体験したことのある人も多いのではないだろうか。昨今の世の中では、一人暮らしだったり家族が仕事や用事などで家にいなかったりで、一人で食事をする人の割合が増えているとよく耳にする。また、食事自体もコンビニ弁当やインスタント食品で済ませてしまうという人も多い印象である。自分自身も一人暮らしをしているので、家で一人コンビニ弁当を食べることもある。このような状況が悪いことであるというわけではないが、こうした時代だからこそ、誰かと食事をすることの大切さや食材の存在を感じられる暖かな食事の必要性を、今一度考えなおしてみても良いのではないかと思う。
 「食事」にあまり重きを置いていないという人に、ぜひ読んでもらいたい。きっと、この本を読み終えたら、大切な人と一緒に食事をしたくなるだろう。

津田塾大学
池上 味花