読書マラソンWEB版

『セメント樽の中の手紙』著:葉山嘉樹 出版社:岩波書店(中村邦生『ポケットアンソロジー 生の深みを覗く』)

龍谷大学 本溜 聖

表紙

『セメント樽の中の手紙』
著:葉山嘉樹 出版社:岩波書店 (中村邦生『ポケットアンソロジー 生の深みを覗く』)

この本は6ページしかありません。その6ページには「ケガや病気になって働けなくなったら、すぐに生活が困窮してしまう時代」の話が書いてあります。現代に生きる僕たち大学生は「貧しい暮らし」を実感として知らない人が多いはずです。そんな僕たちが当時の苦しみに触れられる本だと思います。

主な登場人物は、セメント製作会社で労働者として働く松戸與三と若い女性。與三には妊娠中の妻と6人の子供がいます。若い女性には同じセメント会社で労働者として働く彼氏がいました。物語は、その彼氏が職場で死亡した経緯を綴った手紙を與三が読み、労働者が社会的にどれだけ貧しい立場にいるのかを再認識するものです。

僕は学生事務局をやっていて、大学生協や協同組合についていたるところで学習をします。「満足に生活ができなかった時代に、よりよい生活をしたいと考えた人どうしが手を取り合って協同組合は発足してきたんだよ。」とよく聞きます。そこでいう「満足に生活ができなかった時代」について僕は具体的に想像せず、考えずに、すっ飛ばしていました。想像もつかない世界であるというのもありますが。

読んでいる途中からただただ吐き気を催すほどグロいです。そういった感情は、当時の労働者が実際に生きた時代に向けたもので、そのグロさを感じてほしいです。感覚的に当時の生活がイメージできるはずです。僕は大学生協で「平和」や「共済」を取り組む学生事務局や学生委員に読んでもらいたいです。



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