読書マラソンWEB版

『マシューのゆめーえかきになったねずみのはなし』著:レオ・レオーニ 出版社:好学社

大阪教育大学 多根井 陽

表紙

『マシューのゆめーえかきになったねずみのはなし』著:レオ・レオーニ 出版社:好学社

「スイミー」や「フレデリック」で有名なレオ・レオーニ作の絵本です。私は昨年行われた「レオ・レオーニ展」でこの絵本に出会い、展示されている原画やあらすじを鑑賞するうちに、この作品の何か強く揺さぶられ、絵本をその場で購入しました。

この絵本は両親から将来を期待されているが、将来については「わかんない」と答えるだけのねずみの子どもマシューが、美術館に訪れたこと、また、そこでのニコレッタとの出会いをきっかけに自分の夢を見出す物語です。

私は何度もこの絵本を読んでいるうちに初めてこれを読んだ時に感じた何かが、教育学部として学んできた中で感じてきた"夢が持つ偉大な力"だと気づきました。教育実習や教育現場でのボランティアでは、好きなことややりたいこと、つまり夢に向かって取り組んでいる子どもたちによく出会います。彼ら、彼女らの純粋無垢で自由な集中力や発想力は私たちに比べると凄まじく、感動さえ覚えます。この夢の持つ力が、作中ではマシューがいつも暮らしている壊れたランプや、古新聞の山ばかりのみすぼらしい空間でさえも魔法のように輝かせてみせるのです。

絵本という性質上、この本は子どもたちに向けてメッセージを発信しているのだと思います。しかし、私のような就職など進路選択を迫られる大学生にも、私たち以上の社会に生きる大人の方々にもこの絵本はなにかを伝えてくれるでしょう。もし好きなことができないとき、自分の行っていることが好きなことなのかわからなくなってしまったときにぜひ読んでほしいです。

自分の将来を考える時期に出会い、自分がやりたいことを深く考えさせてくれたこの一冊、また子どもができた時に一緒に読み返したいと思います。



大阪教育大学 多根井 陽