読書マラソンWEB版

『流星コーリング』著:河邉 徹 出版社:株式会社KADOKAWA

広島大学 内藤 真帆

表紙

『流星コーリング』著:河邉 徹 出版社:株式会社KADOKAWA

「読もう」と思ったきっかけは、著者の河邉徹さんを知っていたからです。河邉さんは、スリーピースバンドWEAVERのメンバーで、ほとんどの楽曲の作詞を担当されています。WEAVERの音楽が大好きな私は、河邉さんが小説を書いた、と知って「絶対に読もう」と思いました。本当に、最初のきっかけはそれだけでしたが、読み進めていくうちにどんどん『流星コーリング』の世界観に引き込まれていきました。

『流星コーリング』では、広島で人工流星が降る日を舞台に、高校生の青春が描かれています。その情景の描写は繊細で、広島に一度でも来たことのある人はその情景を思い浮かべることができるでしょう。来たことがない人は、きっと広島に来たくなるでしょう。そして読み終えると星空を見上げたくなるでしょう。そんな描写の1つ1つもこの作品の面白さです。

主人公は、言ってしまえばあまりさえない男子高校生です。彼と天文部の仲間たちを軸に物語は展開していきます。初めこそ、「さえない男の子が仲間を通じて自分に自信を持つ話かな~」なんて考えていましたが、まさかまさかの展開が待っていて、ある出来事を乗り越えようとする主人公と一緒に自分も物語に入り込んで、「こうかな」「ああかな」「なんでそんなこと言ったの」と考えるようになっていました。

物語の中に、「心はシーソーじゃなくてブランコなんよ」というような表現が出ていきます。悲しみに振れた分、喜びにも同じように振れる、そのような意味です。「なるほど」と思う人もいるかもしれませんが、この言葉をただ解釈するのではなく、この『流星コーリング』を通じて出会ってほしいと強く思います。そのとき、その言葉の本当の意味に気づけるのではないか、と思います。



広島大学 内藤 真帆