読書マラソンWEB版

『旅猫リポート』 著:有川浩 出版社:講談社

琉球大学  安井大幸

表紙

『旅猫リポート』 著:有川浩 出版社:講談社

著者が“一生に一本しか書けない物語”というこの本。

この本は悟と猫のナナの物語です。ある日、車にひかれてケガをしてしまったナナを悟がたすけたことをきっかけに、ナナは悟の家族になります。しかし、しばらくしてある事情で悟はナナを手放すことを決め、ナナの新しい飼い主を探す最初で最後の旅に出ます。旅で悟が訪ねていくのは、悟が小学生・中学生・高校生時代に、仲の良かった4人。それぞれの人とやりとりがあるのですが、やりとりを通して、当時のことをお互いに振り返っていきます。悟の人生を振り返るようなやりとりです。そのやりとりにある悟とそれぞれの人の間にあるエピソードは、やさしくて、あたたかくて、ときに面白い、とても豊かなものです。

旅なので、読んでいると本当に一緒に旅をしている感覚になります。悟と悟が訪れる人との間にあるエピソードを通して、人と人とのつながりや、人と自然や動物とのつながりをこの本は考えさせてくれます。この本は、人をそっと包み込んで、やさしくて、あたたかくて、ほっとさせてくれる、そんな本です。

読んだ後には、これまで自分が出会った人や訪れた場所、楽しかったことや悲しかったこと、自分がこれまで歩んできたことがふと思い返され、自分を見つめなおしたり、これまでを振り返るきっかけにもなります。絵本もあります。映画もあります。翻訳もされています。きっと多くの人とつながることのできる本です。ぜひ手に取って悟とナナと旅にでてみてください。


琉球大学  安井大幸