読書マラソンWEB版

『太陽の塔』著:森見登美彦 出版社:新潮文庫

日本獣医生命科学大学  
山本慧樹

表紙

『太陽の塔』著:森見登美彦 出版社:新潮文庫

この作品の魅力は表現と世界観にあると感じています。

これまでに映像化されていた『四畳半神話大系』や『有頂天家族』、『夜は短し歩けよ乙女』、『ペンギンハイウェイ』の作者である森見登美彦の代表的な作品。これらの作品にみられる独自の世界観や言い回しといったものに惹かれこの作品を手にするに至りました。

これまでの映像化された作品に触れてきた私はその世界に憧れを抱き何度か京都を旅したことがありました。この作品も舞台となっているのは京都。こういった現実の世界を舞台とした作品は数多くありその楽しみ方も千差万別かとは思いますが、私は京都の街並みや登場する叡山電車からの景色などを想像しながら楽しむことをしていました。もうすでに京都の景色を知り尽くしている人はもちろん、映像化された作品(『ペンギンハイウェイ』は奈良県)を鑑賞済みの方は一度京都に足を運んでその帰りに読むことを個人的にはお勧めしたい所存です。

中身やその表現についてですが、基本として物語は主人公である『私』の視点で進んでいきます。『私』は京都大学を休学中の5回生、物語はかつての恋人を巡りつつ、周囲の同士含む癖のある学生たちと共に進行していきます。心情の変化や成長といった部分は作中に見られるものの、この『私』の語り口調は終始続いていくので最初の2段落、早ければ初めの2行でこの作品が好みかどうかは感じ取れるように思います。
そんな『私』の暗くじっとりとした爽やかな青春をそんな大学生活もまた、良いのかなと。最後はどこかすっきりとした気持ちにさせてくれる素敵な1冊です。

全国の大学生や大学生活を想う人へ、おすすめです。

日本獣医生命科学大学  山本慧樹