この本は、第二次世界大戦中最も犠牲者をうんだとされる独ソ戦中を生き抜いた当時15歳以下のソビエト連邦ベラルーシの子供たちの101人の戦争証言集です。
大人に「何があったらいいかな?チョコレートか、クッキーか、パンひと切れか?」と聞かれ、「手のひら一杯の弾丸」と答えた少年。
ナチス・ドイツ軍のシェパードに妹をずたずたに食い破られ殺された少女。
ナチス・ドイツ軍につかまり、自らの死体を入れるための穴を掘らされる村の人を、そして殺されて埋められていく村の人を、黙々と見守る少年。
死んだ母親をそりに乗せて運ぶ少女。
兄を殺したかもしれない捕虜となったナチス・ドイツ軍人に、パンを差し出す母を見守る少年。
「戦争をしてはいけない」と言ったり「戦争は残酷だ」と言ったりしたような啓発的な物語ではなく、ただの子供たちの話なのです。それゆえに脚色なく生々しく独ソ戦での「日常」が綴られています。子供たちの証言一つ一つを通して、人間の恐ろしさや戦争という巨大なものに巻きまれた子供たちの無力さに言葉では表しきれないような虚しさと悲しさがこみ上げてきました。一方、子供たちを行くところ行くところで救っていく人々の慈悲深さにも大変心を打たれました。
また、本書の最後の言葉
「(私たちが)最後の生き証人です・・・・・・。」
という言葉は平和への尊い祈りのように感じました。
室蘭工業大学大学院 三好 賢彦