読書マラソンWEB版

『空気を読む脳』著:中野信子 出版社:講談社

京都大学大学院
梶原 泰斗

表紙

『空気を読む脳』著:中野信子 
出版社:講談社

みなさんはこの人間社会に生きづらさを感じたりしませんか?
メディアやSNSが発達した現代社会で、さまざまな便利さを享受しながら、一方で人間関係などの不安やストレスを抱えながら生きている人も少なくないと思います。
この本ではそのような人間社会の性質、あるいは人という生き物の性質を、脳科学の手法で分析していきます。

例えば、有名人の不正や不倫などに対するバッシングはなぜ起こってしまうのか。
この問いに対するひとつの答えとして、脳内の化学物質(神経伝達物質)が影響しているのだと説明されています。
人が集団を形成するために、「他人のための行動」を良いこととする空気(脳内の化学物質から生じるもの)があり、それがときに、「自分だけのための行動」をした相手に制裁を加えるという行動につながるというのです。
つまりバッシングを行なう人たちも、ある種の正義感をもっていて、自分たちの共同体の絆を強めるために、空気をみだす異質な人や異なる人を排除しようとしているのだと考えられます。

他にも、脳科学を用いていろいろな角度から人間社会の性質を分析していきます。
そして筆者はそのような分析のあと、最後に「生きること」について述べています。

この人生というゲームにおいて、勝つこととは何なのか。

多くの人が一度は考え、思い悩む問いだと思います。
このゲームを続けていくためにはそのルールを知ること、つまり人間社会や人間の性格を知ることが大切です。
この本で紹介されるような脳科学が、自分の生き方を考えるひとつのヒントになるかもしれません。

京都大学大学院 梶原 泰斗