『推し,燃ゆ』
著:宇佐見りん
出版社:河出書房新社
ISBN
9784309029160
新潟大学 大学院 1年
ペンネーム:だしまき
何もしないでいることが何かをするより辛いということが,あるのだと思う。
主人公のように周囲との意見の齟齬に悩み,雁字搦めになっている人にとって,「推し」という絶対的な存在は救いだ。
推しをひたすらに追い続けることは,道のない荒野で進むべき方向を指すコンパスを与えられたようなもので,悩みを最小限に抑えられる。ただ,悩みが減ったからと言って状況が改善されたわけではなく,あくまで盲目的になっただけだ。
最終的に視界が開けた時,「推す」前よりも状況が良くなる選択が出来ればと思う。
主人公も自分の選択に従い,ゆっくりでも前向きに進み,いつか二足歩行で歩けるようになればと願う。