直木賞ノミネート、吉川英治文学新人賞、高校生直木賞受賞、2021年本屋大賞8位の「オルタネート」。
著者である加藤シゲアキは「若者にも読書を楽しんでほしい」という想いで書いたそうです。その「若者」の中に私たち大学生・大学院生も入っていると思い、読んでみました。
実際、400ページ近くある超大作でしたがスラスラと読むことができました。
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」を介して交錯していく高校生たちの群像劇です。
恋人探し、友達作り、人捜し、と一人一人違った使い方をする高校生たちがそれぞれどういう結論を見出すのか先が気になって読み進められる作品です。
登場人物たちは高校の3年間という短い時間の中で様々な人と出会い別れ様々なことを考えており、また、「オルタネート」という同じSNSアプリを使っていながら全く違う選択をしていきます。
だけど、前に進んでいるし、どんな選択をしても成長しています。
「オルタネート」は「匿名性がなく安全」という前提のためSNSの恐ろしさなどは話にはありませんでした。
現実世界ではそういうことにも気を配る必要がありますが、私たちもSNSを通しても成長できる部分があるのではないかと考えさせられました。
(おいしそうなごはんの描写がたくさんあっておなかがすいてきます。夜寝る前は注意してください。(笑))
富山県立大学 松山 実由規