学生・院生からのおすすめ本

『暗号解読(上)』著:サイモン・シン 訳:青木薫 出版社:新潮文庫

大阪大学
永江 孝太郎

表紙

『暗号解読(上)』
著:サイモン・シン 訳:青木薫
出版社:新潮文庫

ISBN
9784102159729

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暗号とは重要な秘密の情報を特定の限られた人にしか読めないようにする方法です。これはメッセージの伝達の際に正当でない受信者に渡ってしまったとしても、情報が漏れることを防ぎます。

今はネット社会で当たり前のように、しかし私たちの見えないところで暗号が使われています。私は情報系の学部に所属しており、このような学問に触れているということもあってこの本を手に取りました。
しかし、ここで声を大にして言いたいのは情報系の学生はもちろん、情報系でない理系学生、そして文系の学生にとってもおもしろい本であるということです。

この本では過去に使われていた暗号について専門ではない人にとってもわかるように説明されています。そもそもの暗号の仕組みや暗号パターンの組み合わせ数などが述べられており、練習問題も記載されていて実際に解読に挑戦することもできます。(もちろんすぐに解説が述べられています。)

なぜ文系の学生にもおすすめかというと世界の歴史に沿って暗号が紹介されているからです。暗号は軍事情報を保護しつつ味方に伝えるという点で歴史上戦争の機会などで使われてきました。そして新たな暗号が開発されては解読されてを繰り返して暗号は歴史とともに進化してきました。途中途中で組み合わせ数が多すぎてもう破られない暗号が開発されてしまったと思いますが、それを突破する方法が見つかって、また新たな暗号が紹介されます。現在使われている暗号も、もしそれを突破する方法が見つけられたらと考えると恐ろしいものですが、もしかするとその日は明日かもしれません。

大阪大学 永江 孝太郎

表紙