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『現代思想入門』著:千葉雅也 出版社:講談社

奈良女子大学大学院
池上 亜美

表紙

『現代思想入門』
著:千葉雅也
出版社:講談社

ISBN
9784065274859

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「現代思想を学ぶと、複雑なことを単純化しないで考えられる」ようになる「単純化できない現実の難しさを、以前より『高い解像度』で捉えられるようになる」
情報化社会と呼ばれる現代において、私たちは日常生活の中でとてつもない情報量を取り扱い、さらに取捨選択を求められているように思います。そして、先人たちが明らかにしてきたことが数多くあるために、教育を受ける期間が長くなり、結果として「社会に出る」年齢が以前よりも高くなっている、とも言えるでしょう。
人類が歴史を積み重ね、紡いできたバトンを、複雑化した状態で受け取る一方で、多様性が叫ばれる世の中で、単純化するとこぼれ落ちてしまうものが多くあるのも事実です。複雑なものを複雑なまま取り扱う力が、より一層必要であると感じます。
ところで、皆さんは「○○入門」という本や参考書に手を出して、挫折した経験はありませんか?「入門」というタイトルを謳うものの、その内容を理解するには背景知識が必要で、その知識を理解するには、またほかの知識が必要であった……というのは誰もが経験していることなのではないでしょうか。
本書は筆者が「入門のための入門」と述べるように、講義形式に近い展開のなされ方で、かなり噛み砕かれています。哲学は難しいと感じて断念したことがある人も、「経験」を重ねてきたからこそ、理解できることも多いはずです。ぜひ読んでみてください。

奈良女子大学大学院 池上 亜美

表紙