『そんなに読んでどうするの?〜縦横無尽のブックガイド〜』
著:豊崎由美 出版社:株式会社アスペクト
友人が私の本を勧めてくるとき、その本をとても好きだとびしびし伝わってくる。豊崎さんのブックガイドからは、それよりももっともっと強い本への「愛」が伝わってくる。
『わたしのノーマジーン』
著:初野晴 出版社:ポプラ社
はるか未来の日本、足の悪い革職人のしずかと、人語でしゃべる赤毛のサルノーマジーンの退廃的な物語です。初野晴さんらしいマイノリティ、差別を詰め込んだ作品。明らかになる二人の秘密、ある男によりたたきつけられる絶望。
『天国に行きたかったヒットマン』
著:ヨナス・ヨナソン 出版社:西村書店
ヒットマン、と聞いてマフィアや殺し屋を想像したのだが、実際は60過ぎの元犯罪者なだけであったのは、してやられたといったところか(笑)
とあるホテルの受付係の経歴から物語は始まる。その後、ホテルにやってきた出所したばかりのヒットマン、教会をやめて彷徨い歩いてきた牧師らと彼は出会う。
『失はれる物語』
著:乙一 出版社:角川書店
話の序盤で、男性が突然事故に遭い、意識を取り戻したときには右腕の肘から手首までと人差し指しか感覚がなくなってしまいます。そんな体験はしたことがないし、「自分がもしそうなったらどうしよう」という想像もできませんよね。
『重力ピエロ』
著:伊坂幸太郎 出版社:新潮文庫
伊坂幸太郎の重力ピエロは以前映画化された作品である。ミステリー作品であり、それは長男の泉水と次男の春は異父兄弟である。17年前、市内連続レイプ事件の被害者である泉水の母が身ごもったのが春である。そして、ある日泉水の勤め先で放火される。そして、町の壁の落書きを消す職に就いた春。そして街中のグラフィックアートに気づく。この二つが作中では交錯していく。