全国大学生協連第69回通常総会

大学生協2030Goalsの時間

第69回通常総会 実行委員長 佐藤 佳樹

第69回通常総会 実行委員長 
佐藤 佳樹

現在の大学生協と、未来の大学生協を考える2030 Goalsの時間を始めます。

まず、2030年にあなたの大学生協は組合員や大学、あるいは社会から見て、どんな存在になっていたいですか。どんな価値のある組織と思われていたいですか。これから1分間設けますので、皆さん目を閉じて考えてみてください。

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2030年にこんな大学生協になっていたいという想いや希望は、何が浮かびましたか。

「大学生協2030Goals」を、大学生協グループ全体の2030年までの指針として2021年に策定しました。全国として掲げている2030 Goalsは、こうしなさい、という指示書ではありません。むしろ、全国の大学生協の2030年にこんな大学生協になっていたいという想いや希望の集合体と言えるものです。「大学生協2030 Goals」は、全てを実現するのが目的なのではなく、自大学生協でVisionをどう表現し、自大学生協が何をGoalにするのかを作るための全国の指針です。

この時間は、「大学生協2030 Goals」を私達の共通言語に仕立て直す時間にしたいと思います。

これから、この4つについて皆さんと共通の理解を作っていきます。

目次

「大学生協2030 Goals」はそもそも何なのでしょうか。位置づけ・策定の経緯から確認していきます。次に、大学生協を取り巻く現在の状況を確認します。その上で組合員の参加と協同による大学生協づくりについて確かめ、最後に、あなたの大学生協はVisionをどう表現し、どんなGoalを掲げるのかを考えるスタートラインに立っていただきます。

■「大学生協2030Goals」とは何か

まずは「大学生協2030 Goals」の位置づけと策定の経緯を確認します。

2021年の第65回通常総会では、2つの基本方針を確認しました。「大学生協『再生』基本方針」と「大学生協2030 Goals」です。「大学生協『再生』基本方針」は、2023年から2025年度までの「会員再生計画」を作成することを確認しました。大学生協はコロナ禍に直面する前から、組合員・大学に役立ち、利用される事業をつくり、生協の健全な経営を確実なものにする必要性に迫られていましたが、コロナウイルスによって存続の危機に直面しました。そのため、策定からこれまで、事業の存続自体が最優先の課題となっていました。

2030 Goalsの時間軸は、2030年までの10年間です。コロナウイルスの感染拡大による経営危機を受けて、その前半戦は緊急的な経営対策が求められました。会員再生計画は「損益構造の確立」、「組合員の生活向上・大学の期待への貢献」、「組合員の参加と協同による生協運営強化」の3つを軸とした計画でしたが、コロナ禍というあまりにも厳しい経営危機に直面したことで、その中でも「損益構造の確立」に集中する5年間となりました。

これからの5年間は、「損益構造の確立」に集中した前半戦から、大学生協を一層魅力的で価値ある組織にしていくために、健全な経営構造を確実なものにし、「組合員の生活向上・大学の期待への貢献」、「組合員の参加と協同による生協運営強化」を実行していく後半戦になります。2026年は10年間の折り返しの年、再確認・点検の年になります。

さて、この後通常総会が始まります。理事会より提案される第1号議案は、この「大学生協2030 Goals」をもとに構成されています。では、まずは「大学生協2030 Goals」を語り合う上で必要な言葉の意味を確認します。

「大学生協2030 Goals」を語り合う上で必要な言葉

この4つの構造を登山に例えて考えてみます。

Missionは、自然のすばらしさを自らの体験をもとにして人々に伝えること。なぜ登るのかという根本的な使命を示しています。登ること自体が目的ではありません。

Visionは、富士山の山頂で迎えたご来光の感動を共有し、自然に触れたい人が増えている状態、期限のない理想の未来像を示しています。

Goalは、2026年1月1日までに全員が安全に富士山の山頂に到着し、ご来光を記録する。期限と達成可否がはっきりとしています。

Action Planは、登山ルートを決める、装備を準備する、体力づくりをする、当日の工程や役割を決める。このようなどうやって達成するのかという計画があります。

登山に例えると

この4つのことについて認識を合わせたうえで、このあとの提起を進めます。

まずは、大学生協のミッション・使命の源流について確認します。「ひとりは万人のために、万人はひとりのために」「より良き生活と平和のために」「未来ハ我等のものな里」など、歴史の中で語り継がれ、引き継がれてきたスローガンや、全ての協同組合に共通する原点である協同組合原則などが大学生協の使命の原点となっています。

過去の大学生協連通常総会で確認してきた中長期計画から、Mission・Vision・Action Planの系譜をたどります。大学生協の方針の中に初めてMission・Vision・Action Planという言葉が登場したのが1994年第38回通常総会でした。21世紀を展望し、大学生協の3つの社会的使命と6つのVisionの掲げた、「21世紀へ向けた大学生協のビジョンとアクションプラン」を策定しました。その後、3つの使命は2006年の第50回通常総会にて「21世紀を生きる大学生協のビジョンとアクションプラン」で再整備され、使命は協同・協力・自立・参加の4つのキーワードに整理されました。2013年の「2020年に向けた大学生協のアクションプラン」では、協同・協力・自立・参加がキーワードとなった4つの使命と8つのビジョンは継承され、アクションプランを更新しました。そしてMissionは、2021年に策定した「大学生協2030 Goals」にも引き継がれ、Vision・Goal・Action Planを更新しました。「大学生協2030 Goals」の構造は後半で説明します。

■大学生協を取り巻く現在の状況

Mission・Visionの策定の経緯を踏まえたうえで、現在の大学協を取り巻く状況を確認します。

全国のキャンパス滞留時間は、昼は85%がキャンパスにいた2019年と比べ、2020年は50%未満と激減しました。2022年には75%まで戻ってきましたが、2024年はほとんど変わらず、キャンパスの滞留人口が縮減した構造が継続しています。加えて大学を取り巻く情勢も大きく変化しています。特に2026年以降、18歳人口の減少が急速に進みます。これは今までの大学生協の歴史で経験したことがない現象です。今後ますます入学定員割れの深刻さは大きくなり、大学生協の経営に非常に大きなインパクトを与える懸念があります。

コロナ禍前の2019年と比べると、組合員への貢献度はじりじりと下がっています。人件費・原材料費の上昇を受け、経費の削減を進めてもなかなか健全な経営構造を作ることが難しい状況です。実際、経営バランスをとるために職員体制を絞り、職員がいないからという理由で事業や活動が制限される、取り組みにくくなっているという状況も出てきているように思います。生協の経営にとって一番身近な存在である学生委員会でも、新歓活動はやりがいをもって生き生きと関わっているけれど、実際の生協運営は自分とは関係ないと感じる人も多いのではないでしょうか。

これから大きな変化が予測されます。人口の減少も確実な未来です。大学生協が価値ある組織として未来に残ることはできるのでしょうか。

■組合員の参加と協同による大学生協づくり

そのために、組合員の参加と協同による大学生協づくりです。

昨年の第68回通常国会にてBetter Worldの時間とし、国際協同組合年IYC2025を契機に、協同組合の価値と世界で注目されている価値・期待について確認しました。国内4万を超える協同組合に対する評価は、調査によると「協同組合は地域の役に立っている」と思う人は約半数いますが、「協同組合は暮らしを豊かにしている」と思う人、「協同組合がなくては困る」と思う人は、それぞれ減少しています。

協同組合に対する評価

私たちの事業・組織活動が別の何かに代替えされる部分が増え、大学生協でなくてもいいという声は多くの大学生協で一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。購買事業、書籍事業、不動産事業、友達づくりのイベント、履修相談のイベント。私たちのアイデンティティー・大学生協だから見いだせる価値は一体どこにあるのでしょうか。

大学生協の「参加」と「協同」を強めるためには、そもそも大学生協の存在価値・魅力はどこにあるのかを明らかにしないといけません。その価値・魅力は、組合員や大学や社会にきちんと知られているのでしょうか。ひょっとすると、実はほとんど知られていない、伝わっていない、あるいは伝えていない、そんな可能性はないでしょうか。大学生協はキャンパスの中にありますが、近いと思っているけれど、実はそれほど近くはない存在だということはないでしょうか。大学生協はどんなVisionを持って事業活動を行っているのか、どんな組織活動を行っているのか、どんなことができる組織なのか。私たちは組合員の共感が集まる組織をつくることができているのでしょうか。

■「大学生協2030Goals」

それでは改めて「大学生協2030 Goals」を見てみましょう。

「大学生協2030 Goals」は、私たちが守りたい価値・創造したい価値をまとめ、その価値を実現するために大切にする視点、具体的なVision・Goal・Action Planを整理しています。2030年に向けて守りたい価値・創造したい価値。これらはニアリーイコールMissionであり、大学生協側の自己認識だけではなく、組合員・大学・社会からどのような存在と認識されていたいかをまとめています。

そして、これらの価値を実現するために、全国の大学生協で大切にする視点が3つあります。

  1. 組合員の参加と協同で事業とコミュニケーションを革新する
  2. 協同組合の価値と原則を中心に据える
  3. より良き社会、より良き大学づくりに貢献する

これらは、全てのGoalに取り組む時に大切にする視点・姿勢です。

それらを掛け合わせ、策定時に全国の仲間とたくさんの未来像を出し合い、整理し、5つのVisionとしてまとめました。

中長期的未来像

この5つの言葉は聞きなれない言葉かもしれません。この5つを一言で表すなら、私は「より良き生活と平和」と言えると考えます。今皆さんが行っている取り組みについて聞かれたときに、組合員のより良き生活と平和のために行っている取り組みかと聞かれたら、自信を持って「はい」と言えますよね。この「より良き生活と平和」を5つの視点から分解したものがVisionだとイメージしてください。

5つのVision

「参加者のしおり」9ページをご覧ください。

5つのVisionをもとに全国の大学生協として目指したい20のGoalを提起しています。全国の大学生協の目標なので、測定可能性や期限は抽象度の高いものとなっています。この20のGoalをそのまま皆さんの大学生協で実践してくださいと言っているわけではありません。この5つのVisionを自分の大学生協ではどういう言葉で、どういう表現で組合員の皆さんに提示しますか。あなたの大学生協では、そのVisionを実現するためにどんなGoalを設定しますか。

20のGoal

全国の学生委員は今1万人以上います。学生アドバイザー、学生アルバイト、大学生協職員、教職員、留学生、ここにいる皆さんを含めた、全国157万の組合員という仲間がいます。全国213の会員生協で実践し、大学生協の参加と協同を強めていきましょう。

それでは改めて、2030年にあなたの大学生協は組合員や大学、あるいは社会から見てどんな存在になっていたいですか。どんな価値のある組織と思われていたいですか。また1分間設けますので、目を閉じて考えてみてください。

各生協でこの大学生協2030 Goalsの再確認を契機に、どのようなGoalを設定したいと思い浮かびましたか。まずは自分達の活動を振り返り、Visionの到達を点検しましょう。そして実践し発信していきましょう。

この通常総会に集まった400人の中で、Mission・Vision・Action Planが共通言語となりました。この2日間は、自分たちの取り組みを点検し、各大学のGoalを達成するための下書きを作る2日間です。自大学生協の2025年度方針や計画が書かれた総会・総代会の議案書や、中長期計画はお持ちでしょうか。見返し、照らし合わせて考えていきましょう。

以上で大学生協2030 Goalsの時間を終わります。ありがとうございました。

Goalsの時間

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