「Campus Life」vol.72

つながりの危機を意識して

全国大学生活協同組合連合会
生源寺 眞一 会長理事
(福島大学食農学類教授・
食農学類長)

私の勤務先の話で恐縮ですが、福島大学に農学系の食農学類が開設されて4年目を迎えました。まもなく最初の卒業生を送り出すわけです。専任教員38名、1学年の学生定員100名の小さな学部ということもあって、特色のあるカリキュラムに挑戦してきたつもりです。そのひとつが農場実習です。多くの農学部では2年次か3年次に配置されるのですが、食農学類では入学直後にスタートします。前期・後期の30週にわたって、水田や畑や果樹園などで生きた作物に触れることになります。農場実習と表現しましたが、森林の観察や食品加工技術の学びなど、広い分野をカバーしています。

意欲の高い新入生に植物や食品に接してもらい、実践性を大切にする農学の原点を伝えることがねらいでした。十分に効果が得られていると思います。同時に意外な副産物も生まれました。それは農場実習が学生間の、あるいは学生と教員のコミュニケーションの機会としても機能していることです。100人の学生はいくつかの班に分かれて作業するわけですが、そこに交流の輪が形成されるのです。作業がチームワークを必要とする点も交流を促します。

意外な副産物と申しましたが、濃密な交流の機会となることは授業の性格から必然だったと言えるでしょう。農場実習に限りません。とくに新型コロナ禍を経験した現代のキャンパスライフには、授業と課外活動の両面で、つながりの危機を意識した工夫の重要性が高まっているはずです。

全国大学生活協同組合連合会
生源寺 眞一 会長理事
(福島大学食農学類教授・食農学類長)

「 大学生の一人暮らしをサポートする、大学生協の住まい事業」に寄せて

全国大学生協連
全国学生委員会
(2022年度)
齋藤 薫

私は大学の寮を希望していましたが、抽選に落ちてしまいました。寮以外の住まいを検討していなかったため、次の日大学生協の新入生サポートセンターに駆け込み、お部屋探しがスタートしました。両親は仕事の都合で会場に来られなかったため、一人で会場に向かいました。スタッフの皆さんが温かく迎え入れてくださったことは、卒業した後もはっきりと覚えています。

次の年から3年間、大学生協の『新入生サポートセンター』のスタッフとして、お部屋紹介も含めた新生活提案に関わりました。各地からやってくる新入生の皆さまの、暮らしの場に求める理想の多様さに毎年驚かされました。「アルバイトがしたい」「大学から近い方が良い」「スーパーやドラッグストアに近くて…」といった希望がある一方で、天候や治安、学生の過ごし方など「学生生活そのもの」の実態を聞いてくださる保護者の方々が多くおられました。自分や周りの友人の実体験を交えつつ一生懸命話しました。実際に対面で向かい合った状態で学生生活について真剣に聞いてもらえることが、私にとって何よりもうれしかったです。

本誌に掲載されている「一人暮らしをする全ての学生に当たり前の安心を!」「新しい学生生活のカタチを提案する学生寮」といったキャッチフレーズは、そんな私の心を躍らせる生活提案ばかりです。住まい事業から見た新しい組合員のより良い生活に向けて、キャンパスを中心とした生活の場を整えつつ、各地の現状に合わせた「住まい維新」が活発に行われることを願っております。

全国大学生協連
全国学生委員会(2022年度)齋藤 薫


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