「Campus Life」vol.74

ポストコロナ元年

全国大学生活協同組合連合会
武川 正吾 会長理事
(明治学院大学教授 / 東京大学名誉教授)

73号では「新型コロナの第8波が通り過ぎようとしている」と書いた。74号では「もはやパンデミックではない」と宣言してもよさそうである。2023年の新学期は過去3年間と大きく異なった。入学式・卒業式も完全実施、授業も完全対面が再開されたところが多く、マスクや黙食も任意となった。外国人観光客が日本の観光名所に溢れているのをみるにつけ、パンデミックは終わったと実感する。

生源寺前会長は新型コロナ時代に学生生活を送った学生を「コロナ世代」と呼んだ。そうしたコロナ世代のなかでも、私は2020年入学の学年を、その前後に入学した学生と区別して「悲劇の学年」と呼んでいる。下の学年と違って遠隔授業の経験なしに入学し、上の学年と異なり入学後もキャンパスに立ち入ることができなかったからだ。

その「悲劇の学年」がことし4年生である。彼ら彼女らが卒業までの残り少ない期間とはいえ、自由な学園生活を送ることができるようになったのは喜ばしい。不幸中の幸いは感染の流行がさらに1年長引かなかったことである。

2023年は「ポストコロナ元年」となるのではないかと思う。パンデミックの最中にはパンデミックが続くことが新常態だと言われることもあった。しかしコロナ禍が収束してからの方が新常態となるのではないか。気候変動をはじめ取り組まなければならない課題が山積しているからである。そうした課題に大学生協ならではの仕方で取り組んでいきたい。

全国大学生活協同組合連合会 
武川 正吾 会長理事
(明治学院大学教授 / 東京大学名誉教授)

大阪・関西発!次代の可能性を拓く人材育成」に寄せて

全国大学生協連
全国学生委員会
(2023年度)
中野 駿

コロナ禍を経た今、社会人に求められていること、大学生に求められていることも大きく変わってきているのではないでしょうか。そこに大学や大学生協がどう対応していくか、どのような学生を育てていくか、改めて考えていくことが重要なのかもしれません。

そのような状況の中、大阪公立大学では、「大学統合」という類稀な機会を経て、次世代に向けた人材育成教育、そして地域へのさらなる貢献に向けて取り組みが進んでいることが記事からも伺えます。私が司会進行を担当した座談会では、スポーツを通じて大学生の間だけでなく生涯にわたって、そして地域での実践的な健康づくりが行われるように研究や実践活動が行われていることが紹介されました。また大阪府と連携したヘルシーキャンパスの取り組みなど、地域を巻き込んだ取り組みも行われています。大学の学びを通じて社会に貢献する人材を育てていくという想いと取り組みがとても良いと思いました。

これからの大学生は、コロナ禍を経て、まだ誰も経験したことのない時代を歩んでいくことになります。そこには、新たな学び、新たな交流の形、新たなつながりがあると思います。もちろん学生の生活は学生自身で作っていくものではありますが、そういった中で、学生の意識や生活をどう変えていくか、どう良くしていくかということを、大学と大学生協がともに協力・連携しながら考え、大学でのあり方がより発展していくことを期待しています。

全国大学生協連
全国学生委員会(2023年度)中野 駿


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