「Campus Life」vol.75

新型コロナから生成AIへ

全国大学生活協同組合連合会
武川 正吾 会長理事
(明治学院大学教授 / 東京大学名誉教授)

新型コロナ禍は過ぎ去った(と言えそうである)。6月中旬に1週間ほど北欧に滞在したが、人々は何事もなかったかのごとく暮らしていた。東京の街ではまだマスクをしている人も少なくないが、感染症分類が2類から5類に変更されて以降、その数は少しずつ減っているように思う。食堂のアクリル板を外した大学もあると聞く。

新型コロナに代わって、にわかに注目を集めるようになったのが生成AIである。2022年11月にチャットGPTがリリースされて以来、新型コロナへの注目度が減じていくのに反比例して、その注目度が増してきた。インターネット元年のWindows95の登場と同じ、いや、それ以上の衝撃をもって一般には受けとめられている。

大学教育の場ではレポート課題のありかたが再考を求められている。チャットGPTの出力結果をそのまま提出するのはNGとして、どのような使い方なら許されるのか。生成AIの日本語があまりにも自然なので、提出されたレポートが本人(人間)の書いたものかそうでないかを見分けることに、教員も苦慮することになりそうだ。

インターネットによる検索機能が充実してきたとき、レポートや論文でWEB上の資料を引用したり典拠としたりすることは好ましくないとされた。しかしいまでは正当な手続きを踏めば問題ないこととなっている。生成AIもこれと同じ道をたどるのだろうか。当分は試行錯誤が続くだろう。

大学生協もその経過を見守りながら、このまったく新しい状況に適応していかなければならないと思う。

全国大学生活協同組合連合会 
武川 正吾 会長理事
(明治学院大学教授 / 東京大学名誉教授)

「大学における消費者教育の必要性」に寄せて

全国大学生協連
全国学生委員会(2023年度)
上木 太陽
(関西学院大学卒)

コロナ禍を経て、世界は新しい時代へと移り変わりつつあります。大学内であれば、オンラインで授業がされるなど、数年前では考えられなかったことが実現していました。私の学生生活は、このように大きな時の流れに動かされた4年間でした。また、SNSの発展により高度な情報社会となり、私たちは日々あらゆるメディアに触れながら生きています。しかしながら、このようなデジタルな社会であるからこそ、アナログな、人と人がつながれるような場が必要であると考えます。

岐阜大学は地域に根ざしており、岐阜県内及び東海地域をつなぐ役割を持っています。私が司会進行を担当させていただいた座談会では、コロナ禍を経験した学生の心の悩みや、メンタルヘルスケアについて紹介させていただきました。そこで私は、やはり人の悩みを聞き、その悩みを軽くするには、人との対話が重要であると感じました。

昨今ではChatGPTや、生成AIが創作を行うなど、人工知能をはじめさまざまな技術の発展が著しいです。私を含め、コロナ禍を経験した世代は、今までにない新たな価値観や考え方を生み出せる力を持っていると信じています。日々アップデートされる社会においても、人とのつながりを大事にしながら、毎日を歩みたいと思っています。

全国大学生協連 全国学生委員会(2023年度)
上木 太陽(関西学院大学卒)


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