四角大輔さんインタビュー

日本の実態と違和感

ここで逆に、僕が聞きたいけど「持続可能な暮らし」についてどう思いますか?

急に降ってきたもののように感じる。けど、実際起きていることや目の当たりにしていることが、自分たちも加担していると考えたときに、まずいなと思う。意外と身近にできることがあるというのは感じるが、僕等だけでできるのかなという気持ち。最近は若者の力を!という風に言ってはくれるけど、どこまで支援してくれるのかと求めたときに、期待したいけど、期待したくない気持ちもある。でも、僕らが考えなければ、また同じことが繰り返されて、もっと大変なことになるという危機感はある。

インスタグラムで「plastic obsessed japan」というアカウントがあります。

「日本のプラスチックの使い方おかしくない?」という写真とコメントがどんどん投稿されるので、とても興味深い。日本では過剰包装が普通でプラスチックを使いすぎている。しかも使い捨てがほとんど。

日本人にしたらもはや「普通のこと」かもしれないど、海外から見たら異常で驚かれてしまう。これ見ると、日本人として恥ずかしくなるんです。

今インタビューを受けてるこのお店でも、店員さんが持ってきてくれた段階でグラスにプラスチックストローが入れられてた。でも、本当は「ストロー要らないです」って言うべきだった。もしこのお店で、1日に10人くらいそれ言ったら、お店側も考えるかもしれない。

現場の定員さんが「最近ストロー断る人多いんですよね」っていう会話を店長さんにして、「そうだな、使い捨てプラスチックが問題になってるし、やめてみようか」ってなるかもしれない。

日本では異常に安い物が溢れてて、過剰に便利。なのに、ある国では物も食べものもなくて、9歳の男の子が裸足で10キロ歩いてコットン農園に行き、10時間以上働かされてるという生活を毎日繰り返している。

しかも、そのほとんどの農園では大量の農薬がまかれていて、ひどい場所になると、しばらくすると草木一本も生えない捨て地になるだけでなく、そこで働く人たちはみんな病気がちで、平均寿命が40代という恐ろしい例も多数あります。

「フェアトレード」っていう言葉がやっと最近、認知されてきたけど、本来はそれが「当たり前」であるべき。でも世界の一般的な貿易、トレードというものは基本ほとんどがアンフェアなもの。

今や、先進国でもっとも物価が安いレベルまできている日本で売ってる異常に安い物は、安い労働力によって支えられてる。途上国の恵まれない人たちを、アンフェアな賃金で働かせて…。

「四角さんは、フェアトレードとかオーガニックとよく言うけど、普通でいいじゃないですか」と言われます。

でも、46億年の地球の歴史で見たら、初めて農薬が使われたのはわずか200年くらい前のこと。それは、アメリカでした。その後、農薬に加えて化学肥料が世界で使われるようになり、大地がオーガニックではなくなったのは、ここ最近の話。日本の農地は、100年前までは100%オーガニックだったのに、今や1%以下しかない。これこそ異常ですよね。

言うまでもなく、それまで地球はずっとオーガニックでした。
つまり、オーガニックこそが「普通」ということなのに、みんなは「特別」だと思い込まされてしまっている。

ちなみに、僕が一昨年訪れたキューバは、アメリカから国交断絶されていたために、農薬と化学肥料薬品が入ってこなかった。そのせい?おかげ?で、キューバは今でも100%オーガニックです。

彼らにとって、「オーガニックが普通」ということですね。そんなキューバ人って、世界トップクラスで健康ということで有名で、身体能力も高いからスポーツも異常に強い。野球とか凄くて、あんな小さな島国なのに、全米オールスターチームにも勝っちゃうから痛快。

自然との共存から見えた人間の創造力

四角さんの気づきで、ネットがあれば少しでも若者にも自然に対して興味を持ってもらえるってという、自分が思っていたよりも純粋なところから始まっていたんだと思ったけど、今も変わらずなのか

「持続可能な暮らし」も、本来はあたり前であるべきなのに、「サステナブル」とか「SDGs(持続可能な開発目標)」とか、わざわざ特別なように言わないといけない状態になってしまっている。でもやっと、さすがに大人たちも頭では気づき始めています。

そもそも大企業は、いくらお金儲けしたくても、地球環境がさらに悪化したらそもそも経済活動ができなくなってしまいます。一部の一流企業は、やっとそのことを認識するようになってきた。そして、若い人から「ちゃんとしてくれないと買わないよ」って言われ始めたから、さらに変化し始めてる。

たとえば、時価総額世界一にもなったアップル社は、100%再生可能エネルギーを使っていて、現地の工場と厳しい契約を結ぶことで働く人たちの労働条件を守り、フェアトレードを徹底するように。シューズメーカー最大手のアディダスとナイキは最近、積極的にリサイクル素材を扱うようになりました。

他もたくさんの例があります。これらは全て、欧米の若い世代の大きな世論のおかげなんです。

嫌がられるけど、僕は必ずお店で「このレタスの産地ってどこですか?」とか聞く。そもそも産地が分からない食べものを出すってどうとか思うけど、ほとんどが面倒な顔されます(笑)。でも、みんなが聞くようになったら、小売店も変わってくるはず。

特に若い世代が、「これは持続可能な方法で獲られた魚ですか」とか「この野菜はオーガニックですか」とか「放射能汚染は大丈夫ですか」とかしっかり聞くことで、お店側の意識は間違いなく変わるでしょう。

「地球環境や身体に悪いかもしれないけど安いからいいじゃん、儲かるし」みたいに考えている、マネー至上主義に狂ってしまってる大人さえも変えられるかもしれない。