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「新入生が呼べない!緊急事態での応急処置!その時大学生協では・・・」

【参加者】

東京大学生協
中島 達弥
専務理事

北見工業大学生協
田端 一徳
専務理事

全国大学生協連 全国学生委員会
矢間 裕大
(全国学生委員長)・
井上 弥咲
(全国学生委員・新学期担当)

――学生・院生の様子をご覧になり、新型コロナウイルスの影響で大変だと感じることや、例年と大きく違う点など教えてください。

中島:
入学式が開催されず、4月末に東大生協でも学生向けに緊急アンケートをとり、約900人から寄せられ、アンケートの自由記入欄には切実な声がたくさん載っていました。気軽に大学生活について聞けたり、相談できる相手がいない。大学生活そのものに対する不安がずっと消えない状態で残っている。アンケートからは、授業はオンラインで始まっても、「大学生活がまだ始まっていない」という印象が伝わってきました。

田端:
私は着任後初めての新学期ですが、ほとんどの新入生に会えていません。北見工業大学はオンライン授業を行っていてほとんどの学生は大学に来る必要がありません。約95%が一人暮らしですが、大学周辺の新入生を把握できていないところです。

――新学期活動で例年と違う対応が求められたと思いますが、どのように計画を立てて、何を大切にしつつ、スケジュールや活動を切り替えていかれましたか。

中島:
構内での合格発表がなくなり、従来の方法では生協資料を新入生に届けることができない事態になりました。会議で、緊急時・非常時の認識を職員全体で共有し、この新学期の目的を、生協資料が届いてない新入生を生まない、一日も早く生協の入学準備情報を新入生に届けるということに絞り込み、その実現のためにあらゆる方法を考え実行することを確認しました。大学の奨学厚生課とは、大学生活準備に重大な支障をきたすのだという認識を率直にお伝えしました。大学との協議調整の結果、東京大学の公式ホームページ(トップサイト)に「大学入学準備のための教科書購入や住まい紹介等について」というタイトルで生協Webサイトへのリンクを掲出いただけることになりました。合格発表の際に資料が手渡しできなかったにも関わらず、生協への資料請求は前年水準を維持することができ、入学準備説明会をライブ配信についても、前年を上回る勢いでご参加いただくことができました。新学期に生協が新入生にお渡しする情報は、事業宣伝ではなく、大学生活準備にとって必要不可欠な、大学コミュニティの共益にかなう情報なのだという点で、大学との認識一致を見出せたことがポイントだったと感じています。

田端:
着任後初めての新学期で、いきなりこのような状況になりましたが、新入生に対しては、これまでの経緯もあり、生協の加入案内や共済案内、住居紹介の冊子などを大学の合格通知に入れていただいていましたので、情報が行き届かないということはあまり考えていませんでした。ただ、後期試験前の3月16日に「授業開始を5月7日に延期します」という発表があり、試験前ということで心配でしたが、結果的には昨年とほぼ同等の入学者数になり、大学関係者とも安堵しています。
在校生に関しては、3月の卒業式中止により、卒業生の出資金返還の通常対応は難しい中、大学が卒業生向けに学位記を郵送する際「出資金返還は生協で手続きをしてくださいと」いう文書を入れてもらうことができました。

――新学期スタートの段階で、通常通り開講できない・大学に入構できないという状況だったと思いますが、大学生協として教科書・教材販売や食事の提供に取り組まれたこと、またどのような点を意識したか・判断するうえで大切にしたいことはどのようなことでしたか。

田端:
正直なところ不安がありますが、一人暮らしの学生が多く、恐らく生協店舗を閉めたら別の店に学生が集中し、リスクが高まると思いました。選択肢の一つに生協を入れてもらえば多少分散できるし、周辺にお住まいの方への感染のリスクも防げるかと思っています。
また、やはり大学生協は学生の食を支える、サポートするということを放棄してはいけないという強い想いもあります。非常事態であっても、その想いが今もなんとか営業を続ける原動力になっています。

中島:
仰るようにキャンパスライフのインフラとしての生協の役割はとても重要だと思います。感染症のリスクの中、営業を継続することは不安であると正直におっしゃいましたが、大学との協議を重ねて、インフラとしての役割発揮をすると意思決定し運営を継続されていることはすごいことだと思います。東京大学の場合は早い段階で入構禁止となり、いわばキャンパスコミュニティそのものが活動を停止してしまった状態です。このため、生協店舗の営業も否応なく停止することになりました。当初はどのように営業を継続するかいろいろと議論していたのですが、事実上キャンパス閉鎖状態ですので、校費対応、特にオンライン講義開始に伴う様々な相談・対応と教科書やPCなど新学期事業の対応に限定して、店舗のバックヤードでの取り組みを継続することになりました。

――全国の学生さんやその保護者に向けてメッセージをお願いします。

田端:
私たち大学生協は、組織として総合力でお応えできることもありますので、たくさん問い合わせをしていただければと思います。いま私たちに出来ることはそれくらいしかなく、場合によっては大学や学生委員の学生たちにつなげることができます。そのつながりは強みだと思うので「困っています」という声を生協としては一生懸命サポートし、一緒に取り組み、解決していきたいと思っています。

中島:
大学生協というのはコミュニティの中に位置づいていますし、コミュニティに貢献するために存在している組織です。具体的には、キャンパスの食を支えることであり、キャンパスの学びを支えることであり、キャンパスの人と人とをつなげるという役割です。田端専務が仰ったように、困ったことや分からないことはたくさんあると思うので、なんでも構わないので一度相談をしてほしいですね。生協になんでも相談してもらえれば、なんらか答える、すべて直接解決できなくても受け止めることができる。一人で悩むとか孤立するのではなくて、まずはつながりましょうと呼び掛けたいです。

――本日はお忙しい中有難うございました。

2020.5.8 全国大学生協連杉並会館