キリン×大学生協 発 「スロードリンクを楽しみましょう!」座談会

自分に合う飲み方を見つけてもらうための企業努力

自分にあった飲み方を見つけましょうっていうのをおっしゃられていたと思うんですけど、周りの影響とかで大学生にとっては見つけるのは難しいこともあると思います。そこにスロードリンクとかお酒に上手に付き合うっていうのが広まればいいなぁと思っていて、そういうお酒と上手に付き合える人を増やすところで、キリンさんがどういう風な企業努力をされているのかなというのが気になっています。

お酒と上手に付き合う人を増やすには、まずは正しい知識を持って欲しいということで普及啓発活動に力を入れています。ホームページでも紹介をしていますし、営業マンがお得意先の新入社員研修の際にこのリーフレットを渡して適正飲酒に向けたセミナーを行い、理解を促しています。また、責任ある企業としてマーケティング上の自主基準を遵守しています。TVコマーシャルでは、ゴクゴクお酒を飲みこむ音を出さないとか、喉元をアップした過度な飲酒シーンを描いて飲酒を誘引することのないよう、業界が決めた細かい基準があります。大容量を飲むことを推奨したり、お酒を飲むことが身体にとっていいことだといったような表現は絶対NGです。そうした酒類業界共通の基準のもと、正しい飲み方で楽しく飲んでくださいとお勧めしています。

座談会

上手に付き合う人を増やすっていうところで、すごく驚いたのは、キリンの営業マンが自分たちのお客様であるHUB(スコッチパブ)の社員の方たちに適正飲酒の研修をしていることです。利益を出そうとするだけでなく、自分たちの社会的責任をきちんとお客様に説明している。すごく感じるのは、社員一人ひとりをちゃんと適正飲酒に導く人にしようとしているなってことです。
また、女性は摂取できるアルコール量が男性に比べ少ないのですが、キリンではこうした知識を伝える適正飲酒研修を年に3回しているんです。「そんなにやる?」という印象を受けるかもしれませんが、「周りの人に対して『適正飲酒をしましょう』って伝えている社員がきちんと内容を理解していなかったらそもそも示しがつかないだろう」ということで時間とコストをかけています。

インナーから広げていくのはすごく大事なんですが、私たちのようなお酒を売って利益を求める人たちが、そんなに飲むなっていうことを伝えるのは結構勇気のいる話なんです。そんな風に留めていいんですか?もっと売らなきゃいけないんじゃないですかみたいに言われて。でも、たくさん飲んでいただけるのはありがたいけれど、それで体を壊されては元も子もないので、細く長く私たちの商品を愛していただきたいと思っています。

私の所属するマーケティング部門では、商品基軸にも新しいお酒の飲み方の提案を行っています。
例えば、ノンアルコールビールとか、クラフトビールなんかもそうなんですよね。結局画一的にビールが一種類しかなくて飲むわけじゃなくて、ゆっくり飲むクラフトをやるとか、それ用のグラス、楽しんでもらえるようなグラスもセットで提案をするとか、そういう啓発とセットで、お客さんが実際にトライできる商品とか飲み方提案も合わせてやっているっていうのは企業努力ですね。やっぱり飲んでもらう、お酒が皆さんを幸せにするっていうのは私たちの信念、理念なので。

ノンアルコールは、とても重要なカテゴリだと思っています。休肝日にはノンアルに切りかえたり、飲み会ではビールのように見えるノンアルであれば、他のみんなとの一体感があるんじゃないですか。そういった形で自分で自分をコントロールするのはすごく大切なことで、急に水だけになるのではなくて、ちゃんと代替するような商品を開発して提供するのも大切な要素だと思っています。低アルもそうですよね。低いアルコール度数で、あまり肝臓に負担をかけないような飲み物も開発していきたいと思っていますし、そこは企業努力ですね。

そうですね、自分にあった飲み方ができるように、いろんなバリエーションを持っておいて、そこから選んでもらえるようにしていますね。

クラフトビールは普通のビールより値段が高いじゃないですか。高いので、たくさんは飲めず、1本を味わって飲もうとか、このグラスで飲めば味わいがもっと良くなるんじゃないかなど、すごく大事にして飲みますよね。
ただ流し込むように量があればいいのではなく、味わうことを目的としているのがクラフトなので、それは私たちが力を入れてやっていこうと思っている分野ですね。

お酒の価値が変わってきてるなって思ってて、飲んで、酔って、その時間が楽しいっていうのは学生は多くて、大人の人もこれまではお酒っていうのは自分のテンションがハイになるとか、楽くなるためのツールの一つだったと思うんですよ。でもクラフトビールはそれ自体に価値があって、味で勝負みたいな。価値として時間とか、味わうっていうところに価値を求めるっていう、価値が転換されているっていうのがすごく面白いし・・・・。最初に言ったように、ダメとかマイナスなイメージではなくて、プラスな発想で宣伝をするのはいいと思います。

「価値の転換」はすごくいい言葉ですね!これからはクラフトを飲んでいきたいですか?

僕はあまりビールが飲めないんですけど、クラフトビールは旅行したら、その地方で買うことはたまにありますね。

全国展開のものではなくて、その土地ならではの特別感のあるものですね・・・・。

座談会

最後の質問ですが、今はお酒と上手に付き合える人っていうところだったんですけど、大学生を取り巻く環境のところで、企業として理想的な環境づくりっていうところを発信されているのかなと。お酒を提供するお店に対してとか。

先ほどの料飲店の話にも繋がるんですかね?周りの人の意識も大事ですっていうのは従業員の方とか。

企業のホームページも、お酒のページでの年齢認証は「はい」、「いいえ」ではなくて、生年月日を入れないと繋がらないようにする、未成年飲酒防止のためのサイトづくりをしています。
SNS等で「お酒は20歳になってから」という注意表記を入れるようにしています。

Webでのアクセスが多いですから、気がつくようなところには適正飲酒に関わる法定表記も入れていますね。

その他、起用する広告タレントの方の年齢にもケアし、未成年飲酒防止に努めています。

お酒は大人の飲み物なので、未成年者が自分と同じような歳の子が飲むものではなく、もっと上のお兄さん、お姉さんが飲むものなんだということを知らしめるためにも、広告タレントの年齢は25歳以上とし、20歳からギャップを設けています。最初はテレビ広告だけのルールにしていたのですが、web広告にも広めています。

同じくマスコットもですよね。可愛いマスコットとかアニメとかのところには広告を流さないとか、そう言ったキャラクターを使ってCMを作らないとか、そういったことはしています。

そのほか、私たちはビールとワインの工場が全国にあるので、その所在地で開催する成人式で、これからお酒が飲めるようになる新成人の皆さんにアルコールパッチテスト付きの啓発リーフレットを配って、楽しく安全に飲むためにルールを守ってください、といった講演をしています。
キャラクターの話では、アニメのブームなどもあってどうしても可愛らしい系になってしまうんですよね。大学生でもまだ二十歳になっていない人がいますので、その人たちに向けて可愛らしい広告キャラクターでお酒に誘引することのないよう、大人向けの表現にすることを心がけています。

キリンさんと直接関わっているかは分からないんですけど、居酒屋行っても年齢確認されるんですよ。この一年くらいでむっちゃ増えたなぁって思って社会的にはそういう機運が高まっているからチャンスだなぁって思いますね。

未成年のうちはまだ脳が発達していますからね。早いうちから飲むと脳にダメージを与えて記憶力が悪化するなど危険です。お酒を売る側としてもそういう危険から守らないといけませんから、飲める年齢まで待ってから楽しく、美味しく適量を飲んでもらいたいとお伝えしています。確かに社会の目も厳しくなっていますからね。

事故、飲酒運転が社会ごとのニュースとして取りざたされているので、被害者、加害者の方だけではなくて、お酒を売っている私たちも社会ごととしてみんなが注意しているから、お店の方も年齢確認をするとか、そういう意識になっているのかなと。

飲ませた方も罰せられますから自分たちの問題でもあるんですよ。キリンのお客様相談室にもそういう不適切な飲み方をしている人を見かけるので対策を打ってください、といったご意見を頂戴することがあります。有害飲酒は社会問題として捉えられているので、企業は責任をもって、しっかり対応していく必要がありますね。

キリン座談会