大友啓史監督インタビュー〜大学時代の読書欲〜

本との出会いも一期一会・・・忙しい中でどのように本を読むのか・・・

中村:現在はどのような本を読まれていますか。

大友氏:今はどうしても忙しいので、関わっている映画に関する本を読む時間が多いですね。『秘密 THE TOP SECRET』の準備期間には、脳科学関連のものをずいぶん読み漁ったし。あとはシンプルに面白そうな小説とか、自分の興味のある本を漁るとか。

どちらかというと自分の好きな本を読むという時間はなかなかとれないけど、本屋さんにはよく行くんですよ。店頭に今どういう本が出ているのか、どういう本が売れているのか、どういう本に皆さん興味を持っているのかをなんとなくリサーチして。撮影なんかで地方に行ったときも、時間があれば本屋さんに必ず立ち寄ります。それぞれの本屋さんによって、並びが違うんですよね、置いている本も違うし。東京で見当たらない本が目立つところにあったりしますからね。

ちょっと面白いなと思った本などはそこで購入しないと、忘れちゃうじゃないですか。一期一会という感じがするので。その時自分が興味を持った本がそこにあるというのは、ある種の出会いであって。そのとき興味がなければ、見過ごしちゃうかもしれないものだから、どうしても買ってしまうんですよね。買い貯めしといて、本棚に並べて背表紙を見て、なんとなく時間がある時に、ふと手に取って見るというような読書の仕方が今は多いです。

中村:現在の読書の目的はお仕事と結びついたかたちが多いんですね。

大友氏:先ほども言いましたけど、どうしてもそうなっちゃいますね。でも、自分が面白いと思った本を必ず映像化できるというわけではないし、映画『秘密THE TOP SECRET』だって原作は漫画だけど、初めて読んでから実現まで、5、6年かな、いやNHK時代に読んでるからもっとかもしれない。それくらいかかってますから。それくらいのストロークはいるので。それとタイミングによって、興味って変わるんだよね。映画を撮り終わったあとに、2年前まで興味があったものと全く違うものに興味が行っちゃったりとかはよくあるので、あっちこっちに手を出しているという感じですね。全部読むか読まないかは別として、興味あるものは自分の目に付くところに置いておいて、少し時間があったらパラパラ読んだりしながら、少しずつその時に備える感じ。

今の読書でいうと、完全に僕の場合は、映像化することにすごくストレートに結びついた読書になっている。自分で選ぶ以外でも、まわりからこれ読んでみて、あれ読んでみてって。仕事がらみの読書というのが中心になっちゃいますよね。基本的に大人になるとそういう方が多いんじゃないでしょうか。

中村:お話を聞いていると、読書のスタイルとしては自分の部屋の中に自分の本屋を作るイメージですかね。

大友氏:もちろん本当に本屋を作るつもりはないけど、日常で見たもので面白いと思っても忘れちゃうからね。スマホにメモしたり、背表紙を写真で撮っておいたりはするんだけど、なかなかそのタイミングでしか出会えないということがあるから、本は購入して、放っておいてる。寝かせておいて、興味が出てきたときに見るっていうのが普通になってきていますね。

中村:いま興味がある分野とか、面白いと思った分野とかはありますか。

大友氏:いろんな物語を読みますが、基本ドキュメンタリー系とかが好きなんですよ。自分が物語を作っているからだと思うんですけど、どちらかというと歴史とか、実際に起きた事件の裏側を追ってたりする分野が好きですね。