大友啓史監督インタビュー〜大学時代の読書欲〜

本から追体験を・・・

中村:最後に、大友監督から学生にメッセージをお願いします。

大友氏:俳優さんは、役の人生を演じれば演じるほど、そのものを生きていけば生きていくほどより厚みのあるいい役者になっていくわけですよ。普通の人ができない体験を、他者の人生をフィクションといえども、全身全霊をもって演じていくわけですから。それと同じような体験を本来できるのが読書だと思うんですよ。自分が体験してない出来事、誰かが体験した出来事をまるで自分が体験した出来事のように追体験できるし、自分が思ってもいなかった考えを本の中から聞くこともできるし。そういう肥やしにはなる行為ですよね。

俳優にしたっていくら見てくれがかっこよくても、木と同じで、色々な年輪が必要な訳で、別に読書だけでそれが生まれていくわけじゃないけど、どの程度考えたりしているかということが人の厚みになっていくというところは間違いないんですよね。本は読まないよりは、読んだ方がいいと思うよっていう。

自分の生涯で、10冊ぐらい心揺さぶられた本があがってこない人生っていうのは、なんか寂しいなという気はします。僕はね。それは人によって価値観が違うことだとは思いますが。