受験に役立った参考書

叶田さん(司会):
受験に役立った参考書を教えてください。

西室さん:
私は文系というのもあって、英語や国語に重点を置いて勉強していたので、そのお話をしようと思います。
古文単語や英語は、学校で配られる単語帳をやるのが一番いいと思います。学校であまり配られないものでは、私は漢文の勉強とリスニング対策を問題集でやりました。
まず漢文は、Z会から出ている『漢文道場』というシリーズの「入門から実践まで」を使っていました。この参考書の良い点は、それぞれの科で学ぶ文法が限定されていて、一通りやればよい復習になるということ。あとは、1ページの内容がそんなに多くないので、気軽に取り組めるところがおすすめです。漢文は普段から読んでいないと解くのが難しいので、定期的に触れて慣れていくことが大事だと思います。
英語は、灘校のキムタツ先生が書いていらっしゃる『東大英語リスニング』がおすすめです。リスニングも、漢文と同じく、定期的に勉強しておくことが大事で、耳を慣らしておくことが上達のポイントです。皆さんもこの本に限らず、1冊選んで定期的に聞くのが大事かなと思います。

ためになった参考書

漢 文

『漢文道場』
Z会ソリューションズ

英 語

『東大英語リスニング』
アルク

大野さん:
自分は理系で、大学受験に使っていたのは、英語と数学と物理と化学の4つです。いくつかご紹介します。
英語は、関正生先生の参考書を使っていました。KADOKAWAから出ている『英語長文プラチナルール』で、リスニングや単語などがシリーズで出ています。
英語長文は、漠然と上から読んでしまいがちで、これは本当に効率が良いのか、正しいのかと疑問に思うことも多いと思います。こういう参考書を見ることによって、どういう順番で問題を解いていけばいいか、どういう言葉に注目して解いていけばいいのかといったポイントがわかるようになります。同じ先生が書いた『英語長文ポラリス』という問題集も併用していました。
数学の参考書は、難易度が上から下まであります。ちょっと上のものだと解けないことがあるので、簡単なものから順番に、層を塗っていくようにして問題を解いていました。東京出版から『大学への数学 1対1対応の演習』というシリーズが出ています。これを下のレベルから解いていって、だんだん自分の学力を上げていきました。

ためになった参考書

英 語

『英語長文プラチナルール』
KADOKAWA

英語長文

『英語長文ポラリス』
KADOKAWA

数 学

『大学への数学 1対1対応の演習』
東京出版

叶田さん(司会):
高校生の皆さんは、いま学校で配られたものを中心に使っていますか。

廣江さん:
単語集とか問題集とか、参考書も配られたりするんですけど、その一部が定期テストの範囲の一つとして出る程度です。

叶田さん(司会):
高校2年生だと、配られたものをテストのためにやる感じになってしまいますよね。大学生の皆さんは、定期テストと自分の受験勉強をどうやって組み合わせていましたか。

田島さん:
定期テストの勉強は、受験勉強につながりそうなものを重点的にやるように気をつけていました。具体的に言うと、数学や古典、漢文は、受験でも同じような内容が出てくるので、一夜漬けではなくてちゃんと2週間前とか1週間前とかから勉強して身につくようにする。逆に国語や英語は、授業で習った文章は受験には出てこない。だから受験に必要な知識かそうではないかを分けて勉強していました。

叶田さん(司会):
他のメンバーにも参考書について聞いていきたいと思います。文系で高2からでも特に活用できそうなものをご紹介したいですね。2年生から特に力を入れて勉強していきたいのが社会だと思うんですが、皆さんはいかがですか。

久保さん:
世界史は、『神余のパノラマ世界史』という学研から出ているものがおすすめです。世界史の教科書って、文章が硬くて読むのが大変ですよね。でも、世界史や日本史はただ用語を暗記するだけでは何も役に立たないので、まず流れとして理解する必要がある。この参考書は、ちょっと崩した話し言葉で実際の授業風に書かれてるので、すごく読みやすいです。太字と赤字とかで大事な部分が色づけられていて、大事なところはわかりやすくイラストや表でまとめてあるので、世界史アレルギーみたいな人にもとてもおすすめです。

ためになった参考書

世界史

『神余のパノラマ世界史』
Gakken

叶田さん(司会):
世界史は流れが大事というのは本当にそのとおりです。私も何もわからないまま世界史を選択してしまって、最初は30点とかだったんですが、流れを覚えるようにしてからぐんと伸びました。世界史が本当に何もわからないという人は、久保さんが紹介していたようなものを使うと良いと思います。

千代丸さん:
自分ははじめに言ったとおり、塾へは行かず参考書を使って勉強しました。大学受験に当たって70~80冊ぐらい参考書を使ったんですが、その中から厳選したものをご紹介したいと思います。
大学入試は英語を使う場合が多いと思いますが、英文法が得意だという人はなかなかいないんじゃないでしょうか。自分も英語は得意な方なのに、どうしても英文法で点が取れませんでした。そのときに、プレイスという出版社から出ている『例解 和文英訳教本』という本を使ったのですが、これがとても良かったです。
いろいろなバージョンが出ていますが、その中でも「文法矯正編」がおすすめです。日本人が英語を学ぶ上で、間違いやすいところを重点的に直してくれる本です。英文法は、英語の問題すべてに通ずるので、文法を学ぶと全体的なベースアップに繋がります。
東大の入試は、2次試験で世界史と日本史の2科目を使うという、なかなか全国でも類を見ないような形式です。日本史を勉強するうえでおすすめしたいのが、『中学から使える 詳説日本史ガイドブック』という本。山川出版社から『詳説日本史』という有名な教科書が出ていますが、他の教科書を使っている人でも使えます。教科書の内容をわかりやすく、詳しく説明しているガイドブックのような本で、教科書と比べて大判で文字も大きいです。新しく出てきた単語にはすべて振り仮名や読み仮名を振ってあって、かつ、練習問題もついていて、これ1冊で完結します。

ためになった参考書

英 語

『例解 和文英訳教本』
「文法矯正編」

プレイス

日本史

『中学から使える
詳説日本史ガイドブック』

山川出版社

日本史

『詳説日本史』
山川出版社

叶田さん(司会):
私は、中学校3年間の英文法を復習するような、中学生向けのテキストをおすすめしたいです。本来は中学3年生がやるものですが、私は高校受験がなかった分、中学英語も正直あまり自信がなかったんです。もし、抜けがないか心配だったりとか、最近あまり英語に時間を割けていなくて不安だなという人は、そういうものから始めてみるのもいいと思います。

頑張ることが未来をつくる

叶田さん(司会):
では最後に受験生に対して、大学生の方から一言ずつメッセージをいただけますか。
まず私から。自分自身が高校生だったとき、東京の大学だったり、早稲田、慶應などの難関と言われる大学に受かる人だったりというのは、すごく賢い人だと思っていました。自分では絶対に無理だろうし、本当に雲の上の存在で、私にはできないような努力をしているのかなと思っていました。
ただそれは勘違いで、私と同じような、最初は普通だった人たちがすごく努力を重ねて、毎日、何時間も勉強をした成果で、その賢さがあるんだなということに、高校2年生のときに気づいたように思います。
受験をビジネスにしている人もいて、「これだけやったら成績が上がる」とか、「このテクニックを覚えれば絶対にできるようになる」とか、高校生にとっては魅力的な言葉であふれていますが、私の経験からすると、そういうことは絶対にないです。テクニックではなくて、結局、毎日どれぐらい努力ができて、地道な同じ作業を重ねられるか。自分にはできないと思わず、目標や夢に向かって地道に努力をすることが一番の近道です。

西室さん:
就職活動をしていて、「今まで頑張ったことは何ですか」と聞かれることが結構あるんですが、その一つとして、勉強は本当にやってよかったなと思っています。受験があるから勉強するという感じだと思うんですけど、あとから振り返っても、何かに打ち込むということは簡単にはできないし、受験という機会がなかったら私はできなかったかなと思います。今しかできないことの一つとして、勉強も頑張ってもらえたらいいかなと思っています。部活や遊びも頑張って欲しいんですけど、勉強も前向きに、いつか絶対に役に立つときがくると思うので、頑張って欲しいなと思います。

大野さん:
大学受験は、次の4年間、または6年間過ごす場所を決める、すごく重要な機会なので、自分の時間を無駄にしないためにも、受験勉強を通して、自分の行きたい場所だったり、したいことを勝ち取ってほしいなと思います。
確かに受験勉強は大変だと思いますが、得られるリターンは本当に大きくて、それを4年間、さらにその先まで保持できると思えば、いまの1年とか2年は、そこまで大変なものじゃないと後になって思えます。先の未来を見据えて、自分を奮い立たせて頑張って欲しいなと思います。

田島さん:
やはり自分がどういう風になりたいかということを一番に考えて、それに向かって、今日、何をするかということを考えて欲しいと思います。
未来は変えられないものではありません。自分が今日何をしたかということが、未来をつくっていきます。この考え方が自分は好きです。「こんなことをやってもできない」とか、「いや、どうせ自分は無理だから」とか、よく諦めちゃうじゃないですか。でも、今の自分は無理かもしれないけど、毎日、今からいろいろと変えていったら、そういうことができる自分になれると思う。だからこそ、一瞬の頑張りが大事なんじゃなくて、そのいつかのために、今何をしていくかというのが大事だと思います。
皆さん、それぞれにやりたいことがあると思います。やりたいことがない人はとりあえず頑張るのが一番いいと思いますが、ある人は、自分の目標に向かって、いま何をすべきかを考えて、ぜひ頑張って欲しいと思います。

久保さん:
他の方は心構えを話してくれたと思います。非常に素敵なことで、そんなに私から言えることがないような気がします。
受験勉強でも大学に入ってからでも、成功している人は、自分と相手のことをしっかり分析できている人だと思います。例えば、まず自分は何が好きで、何が嫌いで、何に興味があるのかといったことを分析する。あと、自分はこういうときにすごくメンタルが弱ってしまうなとか、こうするとちょっと元気になるなとか。そういった自分と向き合う時間を今からしっかりつくって受験の土台にすると、よりよい未来がつかめるのではないかなと思いました。
受験勉強はすごく苦しいけれど、結局大学に入ってから、あのときが一番頑張っていたなと思います。意外とあのころに戻りたいとか言っている人は多いんですね。めちゃくちゃ頑張ったという経験が、宝になる。自分の人生で、このとき頑張っていたんだという支えになるから、そういうところも楽しみながら頑張って欲しいなと思います。

千代丸さん:
つい最近まで受験勉強をやっていたので覚えているのですが、とても辛くて、投げ出したくなるときもたくさんありました。実際に、これを勉強したら大学に入れるという前提がなかったとしたら、にこにこ笑いながら毎日十何時間とかの勉強をできる人はなかなかいないと思います。それくらい辛いことではあるのですが、ただ、そこで言いたいのは、頑張った分だけ必ずリターンがあるということ。実際に、今、去年の自分にすごく感謝しているし、もし、そのときの努力がなかったら、いまの自分は大学生活を楽しめていないなと考えると、頑張ってよかったなと思います。
勉強をしながらこんなの何に役立つのと考えていた時期もありましたが、実際、大学に入ると、高校での学びが本当にすべて役立っていると思います。
文系では、世界史や日本史を取っている人もいると思います。世界史だったら例えばフランス革命とか、大学の応用的な内容に入ると、前提の知識があった方が理解しやすい場面が出てきます。あとは、自分の所属している文科二類は経済学部に進む人が多いのですが、高校の数学をやっていないとわからないような勉強をしていくんですね。高校での内容をしっかりと使ってやっていく。だからこそ受験があるわけです。
つまり、何が言いたいかというと、今は辛いかもしれないけれど、ちゃんとその分のリターンはあるので、しっかり自分を奮い立たせて、未来の自分への投資だと思って頑張って欲しいなと思います。

2023年6月24日(土)開催


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