受験生の保護者座談会
@同志社大学(2023年開催)
学びのために、通い続けられる大学の選択

志望校の選択は、受験前の一つの大きな悩みのタネです。今回は、まさにその悩みに直面している高校生の保護者の方にお集まりいただき、受験勉強の仕方や、志望校の選択、お子さまの状況にについてお伺いしました。また、その悩みの解決のヒントとなるように、現役の学生にお越しいただき、志望理由や受験期の過ごし方、学生生活などをお話していただきました。

〈参加者〉

  • 義原 資子さん(大阪府高等学校PTA協議会 相談役)
  • 赤井 礼子さん(大阪府立高等学校PTA会長)
  • 眞鍋 なおみさん(大阪府立高等学校PTA副会長)
  • 水津 由美さん(大阪府立高等学校PTA副会長)
  • 水津 公志さん

〈学生〉

  • 白羽 佑果さん(同志社大学 商学部1年)
  • 押切 日向子さん(同志社大学 文学部1年)
  • 同志社大学 入学センター入学課 入学広報係長
    西口 和哉さん

同志社大学の入試方式

  • 同志社大学の学部構成と入試区分

    • 同志社大学は、全14の学部がある。
    • 今出川校地には、文系の学部が8学部。京田辺校地には理系、文理融合の6学部がある。
    • 入試方式は一般選抜(一般入試・共通テスト)、指定校推薦、公募推薦、AO入試等がある。
    • 入学定員の合計は6351人。このうち約6割がいわゆる一般選抜で入学。
    • 一般選抜は一般入試と共通テスト利用入試という2つに分かれており、内訳は一般入試が55%、共通テスト利用入試が5%。
    • いわゆる年内入試と呼ばれる推薦入試は保護者の皆さまからも、なるべく早いうちに合格を勝ち取ってゆっくり年末年始を過ごしたいという声を多く聞く。
    • ただ、本学の場合はAO入試と公募制の推薦入試は入学定員の4%ほど。指定校推薦の枠も全体の2割弱。
    • 推薦入試よりも一般選抜の方が定員が多い枠組みになっている。
  • AO入試について

    • 一般的に、推薦入試は総合型選抜と学校推薦型選抜の大きく2つ。
    • 本学のAO入試はいわゆる総合型選抜に分類される。学校長の推薦状は不要。
    • AO入試は募集人員が31名と非常に少なく、実施学部も、商学部商学科フレックス複合コース、文化情報学部、生命医科学部医情報学科、スポーツ健康科学部のみ。
    • 出願期間は9月1日からの開始。書類審査の後に2次審査があり、合格発表が11月9日(2024年度入試)と、学部入試の中では一番早い時期に行われる。
  • AO入試の出願資格と出願書類

    • 出願資格は、まず本学が第一志望であることが大前提。
    • その他、学部が定める個別の出願資格がある。
    • 出願書類は、自己紹介書(500字以内)、志望理由書(1000字以内)、エッセイ(2000字以内)がメイン。
    • かなりのボリュームの書類が必要になるため、十分な準備期間が必要。
    • 本学のAO入試は一芸一能入試ではない。例えばスポーツであっても、全国優勝をした人が一番有利かというとそうではない。
    • 自分がどれだけ成長したか、またその経験の中で何を得たのか、それを志望学部・学科での大学生活にどのように活かしていきたいか、特にその部分が問われる入試である。
  • 推薦入試について

    • 公募制の推薦入試という形もある。総合型選抜の自己推薦入試、学校推薦型の推薦選抜入試。
    • 自己推薦入試は、AO入試と同様に学校長の推薦書は不要。
    • 自己推薦も推薦選抜入試も、出願期間や選考日程、合格発表日、あるいは出願資格などは、学部によって異なる。
    • 推薦入試全体的に言えることは、同志社大学及び志望学部のアドミッションポリシーを知ってもらうことが大事。同志社大学、志望学部がどんな学生を求めているのか理解した上で、同志社大学の建学の精神や教育理念、教育の内容、その学部でどんなことを学びたいかを明確にして欲しい。
  • 一般選抜について

    • 同志社大学の一般選抜入試は、例年、2月4日から2月10日の7日間にかけて行われる。
    • 全学部日程と学部個別日程とに分かれるが、これによる大きな違いはない。
    • 全学部日程と学部個別日程を併願すると、希望する学部を2回受けられるという仕組み。
    • 他の私立大学では、一般選抜入試と共通テスト利用入試の併用方式などがあるが、本学は、一般入試と共通テスト利用入試はそれぞれ独立している。
    • そのため、例えば商学部を一般選抜入試の全学部日程と学部個別日程で2回受けて、共通テスト利用入試でもう一度商学部を受けると、3回受験が可能になる。
  • 受験科目について

    • 3科目入試で、英語はどの学部も必須。
    • 文系は、英語に加えて国語と選択科目。選択科目は日本史、世界史、政治・経済、数学の4科目から選択。
    • 理系は、英語と数学に加え理科がある。理科は、物理、化学、生物。物理が必須の学部・学科と、物理、化学から選ぶ学部・学科、または物理、化学、生物から選ぶ学部・学科に分かれている。
    • 選択科目に関して、受験生や保護者の方から受ける質問で特に多いものが、「どの科目を選択したらいいのでしょうか」「一番受かりやすいのはどの科目ですか」という2つ。
    • これについては、科目間の得点調整をしているので、科目によって有利不利はない。
    • ただし、得点調整されるということは点数が変動するということ。
    • 得点調整のない英語と国語、理系数学の必須科目でしっかりと得点をすることが大切。
  • 去年の入試結果

    • 昨年は、一般選抜入試の志願者が6%ほど増加。
    • 特に関西圏では、京都大学、大阪大学、神戸大学、大阪公立大学などの難関国公立を目指す受験生が多く、本学はその併願先として受験する方が非常に多い。
    • 他の私大に比べて、同志社大学のボーダーラインは高めとなることが多い。
    • 今年一番高かったのは、グローバル地域文化学部ヨーロッパコース学部個別日程で81%がボーダーライン。社会学部社会学科学部個別日程も79%。商学部学部個別日程でも8割弱程度のボーダーラインと、全般的に高め。
    • ボーダーラインを取ったら合格だが、受験勉強の目標としては、合格者の平均点を目指して欲しい。
    • 3科目合計の合格者平均点は、文系が8割弱と比較的高いのが特徴。理系は6割強。
  • 共通テスト利用入試の出願期間について

    • 出願期間は多くの学部が1月10日まで。共通テストの実施前に締め切られる。
    • 共通テスト利用入試は、14学部のうちグローバル・コミュニケーション学部以外の13の学部で実施している。
    • 多くの学部が個別学力検査を課さず、共通テストの成績のみで合否を判定する。
    • ただし、一部の学部、学科、方式では、小論文や口頭試問、英語、数学など個別の学力検査を課して、総合的に評価する。
    • 共通利用テスト入試の定員は、全体の入学定員のおよそ5%に相当する300人程度。
    • ただ、だいたいその10倍ぐらいの合格者が出ている。
    • 国公立との併願が多いということもあり、たくさんの合格者数を出している。
  • 一般選抜入試の出題方針について

    • 本学では、高等学校での着実な学習努力が報われるように、難問や奇問を避けているところがポイント。
    • しっかりと高等学校で学び、基礎学力を付けて、過去問題で同志社大学の対策を十分にしておけば得点できる。
    • だからこそ、合格者の平均点が、他の私立大学に比べて高くなる。
    • 解答形式は、マークシート方式を採らずできるだけ記述式とし、論理的思考力や正確な表現力をみるように努めている。
    • 多くの私立大学はマークシートを導入しているが、本学の場合は100%記述式。
    • 英語は受験生全員が受験するので、4万枚ぐらいの答案用紙を、教員が時間をかけて一人一人丁寧に採点をしている。
    • 受験生が持っている本当の実力を知ることを、同志社は最も重要視している。
    • 実際に答案を見ていると、例えば漢字の線が1本足りていないところで得点できていないといったような解答が非常に多いため、記述式の対策は十分にしていただく必要がある。
    • 在学生に聞くと、国公立大学の対策をしていれば同志社大学の対策になると言う。比較的、国公立大学と親和性の高い入試かと思う。

質問会

学部選択をする際の考え方

司会:ここからは、ご質問等があれば西口さんに答えていただきたいと思います。


水津 公志さん

水津 公志さん(以下、公志さん):
昨日、ちょうど京田辺キャンパスのオープンキャンパスに伺いました。
うちの子はどちらかというと理系の中でも生物系なのですが、同志社大学の理系学部は、化学系がメインになってくるのでしょうか。


西口 和哉さん

西口さん:
理工学部と生命医科学部が、いわゆる理系の学部になります。理工学部だと、情報系、機械系、電気系、化学系と、あとは環境システム学科、数理システム学科と10学科あります。工学分野に医学・医療の要素を融合させたのが生命医科学部ですので、化学系に限りません。
生命化学、遺伝子工学などの分野なら、化学系の機能分子・生命化学科で学ぶことができますし、生物学、生態学などの分野は環境システム学科で学べます。生命医科学部医生命システム学科は、生物学、微生物学、分子生物学、薬理学なども学べます。


赤井 礼子さん

赤井 礼子さん(以下、赤井さん):
うちの息子も理系に進みたいようなので、ずっと画面を眺めながら、「どこに行けばいいのだろう」と悩んでいます。
情報システム系のところに行きたいようで、同志社大学だとどこの学部が一番適しているのか自分では見つけられないなということを悩んでいました。

西口さん:
情報系の2学科、インテリジェント情報工学科と情報システムデザイン学科は、プログラミングなども学んでいきますし、比較的近い分野かと思います。
受験生の皆さんにおすすめしたいのは、ホームページなどで学部のカリキュラムを見て欲しいということです。学科名だけを見ていてもなかなかわかりづらいと思いますが、カリキュラムには1年生から4年生までの学習計画と、履修する科目名が載っておりますので、なんとなく学部での学びがわかると思います。
また、シラバスの検索システムもあります。例えば情報システムデザイン学科にはプログラミングJavaなどという科目がありますが、そういった気になる科目をシラバスで検索すれば、半期15回の授業の一回一回のテーマが記載されており、科目全体の概要がわかります。それを調べていただくと、自ずと分野が絞れてくるのではないかと思います。
私自身、同志社大学の理工学部、昔でいう工学部の出身で化学系でした。だいたい6割ぐらいは大学院に進学して、いろいろな分野の企業で活躍されている方が多いです。


眞鍋 なおみさん

眞鍋 なおみさん(以下、眞鍋さん):
うちは文系なのですけれども、結構ハードルが高そうに感じていて、どうやって合格に近づけるのか知りたいです。

西口さん:
偏差値を見ると難しいなと思われるかもしれません。しかし、先ほど申し上げたように一般入試の問題自体は標準的なので、偏差値にとらわれずやるべきことをちゃんとやれば答えは見えてくると思います。
今、YouTubeでいろいろな動画を上げていまして、先日「一般入試合格への道」という学生の座談会をやりました。ある学生が指定校推薦をずっと狙っていて、9月くらいまでねばっていたけれど、結局、推薦が取れなかった。でも、同志社大学が第一志望でなんとか行きたいということで、10月から一般入試に切り替えた。なかなか短い準備期間ですね。そこで彼が取った行動は、過去問を100年分やることです。わからないところは基礎に戻るという繰り返しで、最終的に6回受けて、社会学部に合格したというストーリーを動画で語ってくれています。このように、過去問はかなり重要です。過去問をしっかりとやってもらって、そこからわからないところ、苦手分野を洗い出し、基礎を徹底的に見直していくという反復練習が重要だと思います。
昨日のオープンキャンパスでも学生トークというイベントを行ないましたが、1日にどれくらい勉強していたのか聞くと、「13時間ぐらい、毎日やっていました」と言っています。
時間で測れることではないですが、やはり自分でやるべきことを全部やってはじめて合格できるのではないかと思います。かなりの準備は必要だろうとは思います。

文理にとらわれない教育を推進

司会:高校生の父兄の方が同志社大学にどういうイメージを持っていらっしゃいますか。


義原 資子さん

義原 資子さん(以下、義原さん):
うちはもう高校を卒業していて、息子も娘も大学生です。お友達の中には、1年生のときから同志社大学を希望している子もいました。ただ、同志社大学はやはり高い目標で、挫折してしまう子もいて、その中でも、やはり合格した子は今でも楽しそうに毎日通っているので、モチベーションというところがすごく大事なのだと思います。
うちはいま大学2年生なのですけれども、かわいそうなことに高校2年生のときにコロナが始まって、そこで挫折した子がたくさんいたようです。
何歳になっても夢はかなえられるのだよということが伝えられるのかなと思い、今日来てよかったなと思いました。

赤井さん:
うちの息子の学力的に同志社大学は狙えないかなとずっと悩んでいたのですけれども、この間の模試でちょっと良い点数を取って、先生たちにも「同志社大学もちょっと1回考えてみたら」と言ってもらったようです。それですごくテンションが上がっています。でもその分、頑張らないといけないのよと本人には言っています。
同志社大学さんは文系というイメージが私の中にはあって、その辺がうまく説明してあげられないですね。

西口さん:
確かに14学部あるうち、理系といわれるのは理工学部、生命医科学部の2学部ですね。文系のイメージが強いというのはなんとなくわかります。でも、文化情報学部は文理融合の学部ですし、スポーツ健康科学部、心理学部も実験などもあり理系要素が含まれます。最近は総合知といって、文理の枠を超えているといわれますね。文理にとらわれない教育を大学でも進めています。

眞鍋さん:
先ほど言ったように、やはりハードルが高いなということは前から思っていました。あとは、大学を案内してもらって、結構みんなしっかり勉強している印象を受けました。
うちの子は同志社大学を考えていなかったのですけれども、先生からちょっと話は出ていました。資料もいただいたし考えてみようかなとは思うのですけれども、本人も高いところだと思い込んでいるようです。

西口さん:
その思い込みは皆さんにあると思います。

義原さん:
そうなのですよね。塾の先生や予備校の先生も、やはり同志社大学というと、「ああ、結構高い目標ですよ」と言われる保護者の方が多いです。

西口さん:
その「高い」は、先ほどお話したボーダーラインや平均点の高さです。あとはやはり難関国立との併願の受験層が厚く、ライバルが多いことだと思います。問題が標準的なだけに、ケアレスミスは絶対に許されない。ケアレスミスをすると大きな命取りになる入試かなと思っております。

義原さん:
塾の先生にも、高いですと言われると、そこで1回、子どもも親も尻込みをしてしまう。浪人をさせるのは厳しいと考えていらっしゃる保護者の方もたくさんいると思います。
やはり挑戦するという一歩を踏み出して欲しいし、親としても子どもの背中を「いいよ」と押してあげたい気持ちはあります。

西口さん:
昨日のオープンキャンパスの「学生トーク」というイベントの中では、模試の判定を気にしてしまうということが話題になっていました。学生が言っていたのは、結局、最後までE判定やD判定しか出なかったけれども、でも合格できましたと。模試の問題はまったくの別物なので、それは気にするなと。とにかく同志社の過去問で対策して、基礎学力を徹底的に付ければ大丈夫だという話がありました。過去問で8割を目標にしてください。


水津 由美さん

水津 由美さん(以下、由美さん):
同志社大学は、京都にある古き良き大学というイメージでした。息子は理系だから、昨日、京田辺のキャンパスを主人と見に行ったんですけれども、本人もやはりちょっと気になったみたいです。今日、保護者座談会に行ってくるよと言ったら、「どんなのだったか教えて」と自分から言ってきました。
ずっと部活ばかりしていた子で、やっとここで進路をまともに考え出したようです。たぶん何がしたいかのかも決まっていないから、どこかで合致するものがあったら、挑戦できたらいいなと思います。

現役学生からのメッセージ


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