時代とともに、大学入試、生活スタイル、デジタル活用、国際性・多様性など、学生を取り巻く状況は変わってきています。
今回は、近畿地方の大学に進学された学生の皆さまとその保護者さまにお集まりいただき、受験期や新生活準備の苦労、実際に大学に入ってからの生活についてお話を伺いました。
黒字:保護者様
青字:お子様
増田一実さん:
うちは自分の部屋があって、机もちゃんとあるのですが、リビングでやることが多かったです。
増田実玖さん:
自分の部屋は静かで集中はしやすいのですが、試験本番は大勢いる中でやるので。臨場感を味わったほうがいいと思って、常に何か音がする状況でも集中して取り組めるようにリビングでやっていました。
稲嶺正一さん:
うちの場合、上の娘のときはリビングでやっていたのですが、息子は自分の部屋です。あとは学校で少し残って勉強をすることもありました。
南部美穂さん:
私が知る限り、家ではやっていませんでした。学校の図書館や予備校の自習室でやって、家はもう休む場所と捉えていたと思います。私たちが寝静まった後は分からないですが、彼が家で勉強している姿を見たことはありません。
増田一実さん:
急に立命館大学を受けると言われたことです。
増田実玖さん:
高校3年生の7月初め頃です。保護者と受験生向けの大学説明会に父と行ったのですが、AO入試や総合選抜でも受けられて将来の幅が広がりそうだなと感じ、立命館大学を受けてみようかなと思いました。
増田一実さん
増田一実さん:
10月には試験を受けて、その間に書類など一式を学校に揃えていただいて。私の気持ちが追い付かないまま決まってしまいました。不安なのは、私が一番何も分かっていなかったということです。
稲嶺正一さん:
受験期間中では、ちょうど新型コロナなどもあり、特に妻が体調管理の部分を気にしていたと思います。もともとイベントのタイミングに体調を崩すことが多かったので、そういうことがないよう、できるだけ気を使わない環境をつくっていました。
南部美穂さん:
うちは京都大学を受けようと決めたのが昨年8月頃だったので、志望校が決まるまでに時間がかかりました。家から通える大学を狙うか、一人暮らしになる京都大学にするかで、ずっと迷っていて。サポートの仕方がまったく変わるので、どうなるか心配でした。
あとは入試のためのホテル予約です。9月頃に入試のためのホテルを予約しようと、京都大学生協のホームページを見ました。会場までの送迎バス付きプランがあったのですが、その時点で全部埋まっていました。
増田一実さん:
アドバイスは、たぶんしていないです。
増田実玖さん
増田実玖さん:
いえ、してくれました(笑)。今所属している「産業社会学部がいいんじゃない」というのを、両親が提案してくれたんです。産業社会学部は、多角的に社会学について学ぶことができ、[現代社会専攻・メディア社会専攻・スポーツ社会専攻・子ども社会専攻・人間福祉専攻]に分かれています。決めきれないながら私は、「メディア社会専攻」がいいと思っていました。カメラや映像も好きなので「メディア社会専攻に行きたい」と言っていたら、「それだと志望理由として少し甘いんじゃない?」と言ってくれたんです。私は「ただやりたいことをやるため」に大学に行く感じだったのですが、「将来にどうつなげるかを考えたほうがいいよ」と、母が気付かせてくれました。子どものことが好きということもあり「子ども社会専攻」にしたのですが、すごく入って良かったと思います。
増田一実さん:
自覚はあまりないのですが、それがアドバイスになっていたんですね。東京の大学にもそういう勉強ができるところがあって、立命館大学を推していたわけではないのですが、夫と娘でどんどん話が進んでいきました。
稲嶺正一さん:
私も「こうして」とアドバイスした覚えがあまりなくて。ただ、「行けるところよりは、行きたいところを自分で意識しながら選んだら?」と言っていたと思います。
南部美穂さん:
うちは、志望校選択は完全に彼の意思決定によるところで、アドバイスは一切していません。
増田一実さん:
すべて子どもに任せました。
稲嶺正一さん
稲嶺正一さん:
うちは中高一貫校だったので、学校説明会があったり、受験の具体的な情報を比較的早いうちに聞けていました。あとは予備校です。偏差値などを比べながら、息子も行きたい大学を重ね合わせながら、情報を見ていたと思います。
南部美穂さん:
参考にしていたのは、予備校の保護者会などで提供される情報です。また、「テレメール」という大学からパンフレットなどを送ってもらえるサービスを利用して、受験の可能性がある大学から資料を取り寄せていました。このサービスに登録すると、その大学からいつも情報がアップデートされるので、必要なものを息子に伝えていました。
増田実玖さん:
私は東京の学校に通っていて、実は立命館大学のオープンキャンパスには行っていません。立命館大学に決めたのが高校3年生の7月頃で、AO入試までの期間がものすごく短く、その期間に小論文の対策と面接対策をしなければいけなかったので。「オープンキャンパスに行かなくていいの?」と母から言われましたが、行っている余裕がありませんでした。
稲嶺一廉さん:
自分は高校2年生のときにコロナ禍に入ってしまって、最後に見たのが高校1年生のときの学校の課題としていきました。そのときはまだ志望校も全然決まっていない中、友達と淡路島を出て京都大学のオープンキャンパスへ父親に連れていってもらいました。それ以降はコロナ禍で行けなくなりました。
南部悠樹さん:
自分はオープンキャンパスには行っていません。志望校を決めたのが7月終わりから8月初めぐらいと遅いこともありまして。それに、オープンキャンパスに行って受かるならいいのですが、「意味があるのかな?」という思いも少しあり、行きませんでした。友達や母親から大事な情報は教えてもらっていたので、十分かなと考えていました。
増田実玖さん:
私が通っていた学校には付属大学があり、高校3年生の7月より前の時点では、そこへ行こうと考えていました。併設校受験は評定で決まるので、必死にしがみついていました。それから、立命館大学をAO入試で受けることになり、一般入試との時期の違いなどで、友達関係で少しギスギスしてしまったことがあったんです。私が小論文などをやっているときに、横で「あそこに遊びに行こう」「最後の夏休みだからここに行こう」という話をされたり、逆に私の受験が終わってからは一般入試を受ける人が忙しくなり「いいよね、気楽で」と言われたこともありました。やっぱり受験期はメンタルが弱くなってしまうので…。でも、今の自分からそのときの自分にアドバイスするとしたら、「自分の信念さえ持っていたら、そんなの全然気にしなくていい」と言ってあげます。
稲嶺一廉さん
稲嶺一廉さん:
自分は、受験期に成績の波があって、ずっと安定しなかったことが悩みでした。高校3年生のときは模試を受ける回数が多くなりますが、良かったり悪かったりの波が激しくて。いつまでたっても不安で、悩んでいました。もう一つは志望校です。大まかに経済学部を受けようという気持ちはあったのですが、どの大学を受けるのか、どの日程で何回受けるのか、私立も何回受けたら安心なのかと、決めるのが難しかったです。
南部悠樹さん:
受験期は自分のペースを保つのに苦労しました。友達からは「1日何時間、勉強しているよ」「模試で何判定だよ」「今、何の参考書やっているよ」という話が出たり、インターネットでは「京都大学に受かるなら、高3のこの時期なら、これぐらいの偏差値は取りたいよね」のような本当かも分からない情報が手に入りすぎる中で、「自分はこれで間に合うのか」「もっと睡眠時間を削ってやったほうがいいのかな?」という迷いが生じて、気持ちを保つのが大変でした。
増田一実さん:
うちは夫の転勤が決まり、家族全員で京都に行くことになりました。子どもを一人で送り出す心配はなくなったのですが、引っ越しを私自身がしたことが一度もなかったのでそちらの心配のほうが大きかったです。
稲嶺正一さん:
うちの場合、上の娘が先に大学に入っていたので、入学のためにすべきことはある程度分かっていました。今、息子と住んでいる部屋は、以前は娘と住んでいたところです。
南部美穂さん
南部美穂さん:
不安はやはり住まい探しです。3月10日が合格発表で、決まったらすぐに探しに行かなきゃと。受かるかどうか分からない中で内見もできないので、そこから決まるのかは本当に不安でした。
合格発表の前に息子から、「何となく受かるんじゃないか」という言質を取りまして。2月中ぐらいに、もし残念だったら「ひそかに取り消しておけばいいね」という考えで、息子には知らせずに親だけで不動産屋に予約を入れました。うちは引っ越しの経験が多いので、一人分の引っ越しくらいはもう何でもないと思っていました。
増田一実さん:
合格後に送付されてきた資料の中に案内が入っていました。何も分からないので、とにかく資料やホームページがあるものは全部見ていこうと、娘と一緒に見ました。実際に出向かなくても情報を得られるのでありがたいです。
稲嶺正一さん:
妻は見ていたかもしれませんが、私は存じ上げていなかったです。中心にしていたのは「テレメール」で、入学準備に関する様々な情報を見ました。その中の情報にZoom説明会があり、妻と息子が見たということを聞いています。
増田一実さん:
うちは幸いなことに合格決定が早く、大学生協主催のZoom説明会を一通り受けられました。とても手厚く、分かりやすいと感じながら、余裕を持って手続きができました。
稲嶺正一さん:
手続きはまだやり方が古いというか…。専用の振込用紙が送られてきて、平日の昼間に銀行窓口まで行って振り込む必要があり、ネット振込などは使えませんでした。それは、立命館に通う上の娘のときも同じでした。
南部美穂さん:
うちの場合、3月10日に合格発表があり、14日までに手続きを完了させる必要がありました。振込用紙は、2次試験の最終日に各受験生に配られていました。合格発表の10日は日曜日だったので振り込めず、翌日本人と夫が京都に向かう中、私は銀行へ。振込用紙と共通テストの受験票を大学へ「14日必着」で送るという過酷なタスクで。家探しと入学手続きを同時にするのは、本当に大変でした。
増田実玖さん:
私は立命館大学のオープンキャンパスに行っていなかったので、どういう学部があるのか、自分の通う学部・専攻の授業はどういうものがあるのかなど、大学の詳しいことを知っておきたいと思いました。高校から「自分が行く学部・専攻でどういうことを学んでいきたいか?」という入学前の課題があったので、大学の授業を調べ、「この授業だったら自分の知りたいことを学べそうだな」といろいろ考えていました。
また、衣笠キャンパスでは「プレ・エントランスデー」という合格者を対象にしたイベントがあります。12月末に行き、どういうことをしていくかという説明を受けたり、キャンパスツアーに参加しました。
稲嶺一廉さん:
大学に合格した直後は、入学式までに何をすべきかの情報を集めるために、インターネットで調べていました。届いた書類にも案内があり、入学までにすべきことや実際にどういうルートで通うのかなどをチェックしていました。
南部悠樹さん
南部悠樹さん:
受験期は、受かるかどうかしか頭になく、受かった後のことはまったく考えていませんでした。いざ受かってからは、親に言われるがままに京都大学に一緒に付いていって、大学から届く資料に書いてあることにとりあえず従って、気付いたらもう入学式という感じでした。
南部悠樹さん:
親に頼ってばかりでした。
南部美穂さん:
試験が終わってから合格発表までは時間があったので、その間に大学生協のホームページや不動産屋のホームページを見て、どのくらい値頃感のアパートを斡旋しているのかや間取りなどをある程度研究して、合格後にそれを持って不動産屋に行きました。ただ、土地勘がまったくなく。夫が一緒に行ったのですが、動けるのは1日だけしかなく、内見も1つだけでその場ですぐに決めました。
南部悠樹さん:
部屋は「住めればいいかな」くらいに考えていたので、ぱっと決めました。生活用品は、知識も特にないまま母に付いてきてもらって、「これが必要」と言われるがままにです。
南部悠樹さん:
料理は結構好きで、自炊するつもりでした。でも、最初はやっていたのですが、授業が始まってくると、いろいろ面倒くさくなってしまって、5月以降はやめてしまいました。ただ、生活をするのに便利なように家を決めたので、大学まで歩いて通える距離ですし、スーパーが近くにあり、飲食店もあるので、頼りながら何とか暮らしている感じです。そこは運が良かったと思っています。
あとは実際に1~2カ月住んでみて、初めての一人暮らしで見えてくるものがあり、自分で考えていろいろ買い足したり、東京から送ってもらったりしながら、「とりあえず暮らせればいいかな」という気持ちでやっていました。