受験生の保護者座談会
@同志社大学(2024年開催)
大学受験には様々な方法があり、可能性がある

大学入試の変化とともに、年々早期対策の重要性が高まっています。その中で、高校生本人はもちろん、親はどのような心構えが必要なのでしょうか。今回は、高校生のお子さまがいらっしゃる保護者の方、そして現役大学生にお集まりいただきました。情報収集や志望大学・学部の選択、受験や入学後の生活について、親・学生・大学の三つの立場からお話ししていただきました。

〈参加者〉

  • 片山 政利さん(大阪府立高等学校PTA会長)
  • 岡﨑 美紀さん(大阪府立高等学校PTA副会長)
  • 赤井 礼子さん(大阪府立高等学校前PTA会長)

〈学生〉

  • 大橋 楓子さん(同志社大学政策学部1年生)
  • 南 日菜乃さん(同志社大学商学部1年生)

〈講演者〉

  • 同志社大学 入学センター入学課 入学広報係
    宝田 将志さん

同志社大学の特徴と入試方式

  • 同志社大学の特徴

    • 2025年で創立150周年の歴史ある大学。
    • キリスト教主義教育が徳育の基本。知識・技術だけでなく、人格形成を含め、総合的に学生を育てていく方針。
    • 14の学部からなる総合大学。
    • 文理融合型の学部がある。文化情報学部、スポーツ健康科学部、心理学部などでは文系的な教育に加え、データ分析なども行う。
    • 高校では情報が必修科目だが、同志社大学の各学部は情報が必修ではない。

    大学案内で情報を詳細に公開

    • 4年間でかかる学費、入学金、学会費、父母会費、教育充実費、研究費や、奨学金制度などを掲載。
    • 学部ごとの特色や取れる資格を掲載。
    • 留学制度として正規プログラム一覧を掲載。4年間で卒業できるようにプログラムが組まれ、1年間留学しても卒業が1年延びることはない。
    • 就職先を学部別に掲載し、学部卒と大学院卒の特徴も紹介。近年は理系であればメーカーが多い。大学案内に載っているような企業が、学内で就職説明会を開くなど、大学全体として就職をサポートしている。
    • 各学部の専任教員一覧と専門分野を掲載。高校に比べて大学は専門性が高くなり、各教員の専門分野を軸に深く教えるのが特徴。教員やその専門分野が何かを知ることは大学・学部選びにおいて大切。
  • 同志社大学の入試の特徴

    • 同志社大学の入試は、AO入試などを含む推薦入試と、一般入試を含む学力入試。
    • 推薦入試は、学校長の推薦書が不要な「総合型選抜」と学校長の推薦書が必要な「学校推薦型選抜」の主に2種類で、他には「指定校推薦入試」がある。
    • 学力入試は「一般入試」と「大学入学共通テストを利用する入学試験」の2種類ある。

    推薦「総合型選抜」

    • 総合型選抜には「AO入試」と「自己推薦入学試験」がある。他大学ではAO入試と自己推薦は同じ扱いのところもあるが、同志社大学では明確に分けている。
    • 「AO入試」は、「何にどのように取り組んできたか」「その過程を通してどのような学びがあったか」「将来どのようなことをやりたくて同志社大学のこの学部を選んだのか」などを自己アピールする試験で、面接時間が長いのが特徴。出願書類も特徴的で、2000字のエッセーがあり、「自分はこういう物事の捉え方をする」「こういうところに興味がある」など課題活動の戦績など数字で測れない部分も見ようとしている。
    • AO入試は4学部で募集しており、各学部で募集人数や出願資格が異なる。
    • 「自己推薦入試」は一芸一能入試に近く、例えば「野球で甲子園に出場」などの実績、語学力であれば「英検何級」などの実績をアピールできる試験。

    推薦「学校推薦型選抜」

    • 学校推薦型選抜の「推薦選抜入学試験」は、学校長の推薦書が必要なこと以外は「自己推薦入学試験」と同様の考え方。

    学力「一般入試」

    • 試験は2月4日~2月10日の1週間のみ。
    • 試験日1日に対して1学部・学科しかエントリーできない。ただし、試験日が違えばすべて併願できる。日を変えて同じ学部をエントリーしたり、理系から文系に変えて受けることもでき、最大7回併願可能。
    • 問題の違いは、学部ごとではなく試験日ごとで、例えば2月4日はどの学部を受けても全員同じ問題を解く。科目ごとの出題委員会が1週間分の問題を一気に作るため、学部ごとの対策が不要となるため、「何学部を受けるからこの勉強をしないといけない」ということはなく、どの学部でも応用が利くため併願がしやすい。
    • 基礎を重視した問題を作成するという出題方針がある。「高校での着実な学習努力が報われるように難問や奇問を避ける」「マークシート方式でなくて記述式に」という方針が決まっている。そのため、平均点が高め。同程度の私立大学で6~7割が平均点とすると、同志社大学では7~8割近くが平均点となる。過去問題等で問題のレベル・傾向を確認しつつ基礎を固め、本番ではケアレスミスをしないよう、着実に点数を取っていくのが同志社大学の一般入試を受ける際に大事なこと。

    学力「大学入学共通テストを利用する入学試験」

    • 国公立大学の受験生が必ず受ける「大学入学共通テスト」の点数を使い、私立の同志社大学に行けるという試験。
    • ほとんどの学部は、大学入学共通テストの点数のみで合格判定が出る。ただし、いくつかの学部や受け方によっては個別学力試験を実施し、大学入学共通テストの点数プラス個別の学力試験の点数の合算で合否判定を行うケースがある。その場合、同志社大学独自の勉強を行い、同志社大学で受験をする必要がある。これは大学入学共通テストで思うように点数が取れなかった場合に個別学力試験で挽回できる仕組みでもある。大学入学共通テストのあとに出願締め切りの学部もあるため、大学入学共通テストの自己採点を見てから「国立だけで考えていたけど、私立も受けておかないと」となったときにも受けられる試験がいくつかある。

同志社大学からメッセージ

宝田将志さん(以下、宝田さん):
「入試=勉強をして学力を上げること」が前提でありながらも、受け方や科目、出願日程を考えて組み合わせていくと、いろいろなところにチャンスが転がっています。ただ、大学ごとに様々な入試制度があり、それを理解して活用するのは本当に難しいと思います。受験生はそこまで考える余裕がないと思いますので、保護者の皆さまにも制度を知っていただき、「意外とこういうのを受けられるんじゃない」という助言やバックアップをしていただくと受験生の負担が減り、家族全体で入試を乗り越えていけると考えています。
受験業界として年内入試・推薦入試がトレンドです。そのためには早くに大学選びを行い、受験に備える必要があります。高校1~2年生のうちに大学案内やオープンキャンパス、全国で行われる大学の入試説明会などの機会に足を運び、見比べていただくと、それぞれの大学の特徴が見えてくると思います。

質問会

英語の試験方針

司会:ここからは、ご質問などがあれば宝田さんに答えていただきたいと思います。


片山政利さん

片山政利さん(以下、片山さん):
入試についてお聞きします。うちの子は理系の学部に進むと思うのですが、理系の英語の試験方針などがあればお伺いしたいです。


宝田将志さん

宝田さん:
同志社大学の入試は、英語で受験学部に関連する専門性を測るものではありません。理系学部の試験で文系の題材を出すことがありますし、その逆もあります。文理関係なく英語は大事だと考え、様々なテーマが出題されます。
同志社大学の英語は、「長文問題が長くて読むのに時間がかかる」とよく言われます。理由は英語の基礎力を重視し、単語力があるか、精読ができるか等を見るためです。一つひとつ丁寧に読み解いていこうとすると時間が足りません。単語帳に載っている一つ目の意味だけでは読み解けない問題もあり、分からない単語があったらひとまず読み飛ばし、前後の文脈から言葉を類推して読み解いていく力も必要です。
厳しく聞こえるかもしれませんが、単語力や熟語、構文などの基礎固めをきちんと行うなど努力すれば点数に反映されるように作問しています。受験生からすると大変ですが、それをクリアしてきた学生の皆さんは、ベースとなる学力を生かしながら、学部の学びの中でも応用していけたり、入学してから困らないように様々な学びができるように考えています。


岡﨑美紀さん

岡﨑美紀さん(以下、岡﨑さん):
推薦では英検などを持っていたほうがいいのでしょうか。英検以外にも何かあれば教えていただきたいです。

宝田さん:
受験では英検やTOEICなどがよく使われます。ただ、同志社大学の一般入試では検定試験結果による加点はありません。他大学であれば、英検等で何点を持っていたら加点やみなし点となるケースもあります。語学に自信がある方、英語の検定試験の結果をうまく活用したい方は、英検やTOEIC等を受けて点数を持っていると様々なところで応用が利く可能性があります。あとは、ベネッセが行っている中高生向けの英語検定「GTEC」を入試で使える大学もあります。
英検やTOEICは外部試験なので、そのための勉強や費用の負担が必要になります。高校生の方は大変だと思うので、1~2年生のうちは高校内で受験可能なGTECで学習し、受験期になり志望大学がGTECを使えるのであればそのまま継続。GTECが使えない大学であれば、英検・TOEIC等の指定された外部試験を2年生の終わりか3年生の春先に受けるという考え方もあります。外部試験の受験時期が遅いと、結果が出るのが入試に間に合わなくなる可能性があるので注意してください。

今出川校地と京田辺校地の交流

片山さん:
今日は今出川校地に来ていますが、理系は京田辺校地にあるとのことで、交流などはあるのでしょうか。

宝田さん:
交流として代表的なのはサークルや部活動です。サークルや部活動は、文理関係なく行われています。サークルのボックス棟と言われる部室の集合施設が今出川校地と京田辺校地の両方にあり、曜日で練習する校地を変えたり、共通で活動したりしています。2校地間を走る無料シャトルバスや電車も多く、それらを利用して、京田辺校地で勉強してサークルのために今出川校地に来るという学生もいます。私は大学で野球をやっていたのですが、専用グラウンドが京田辺校地にあるので、今出川校地で勉強したあとに京田辺校地に行っていました。
あと、同志社大学では学園祭が年2回開催されます。今出川は「EVE」、京田辺は「クローバー祭」と言い、校地の枠を超えて様々な学部やサークルが模擬点等を出店しています。
授業では全学共通教養教育科目があり、その科目を取るために今出川校地に理系学生、京田辺校地に文系学生が行くこともあります。距離は離れていますが、交流する機会は多いです。

片山さん:
無料シャトルバスは片道どれぐらい時間がかかるのですか。

宝田さん:
道路の混み具合にもよりますが50~60分程です。その時間で仮眠したり、勉強したり、学生は自由に使っています。

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