大学入試の変化とともに、年々早期対策の重要性が高まっています。その中で、高校生本人はもちろん、親はどのような心構えが必要なのでしょうか。今回は、高校生のお子さまがいらっしゃる保護者の方、そして現役大学生にお集まりいただきました。情報収集や志望大学・学部の選択、受験や入学後の生活について、親・学生・大学の三つの立場からお話ししていただきました。
宝田将志さん(以下、宝田さん):
「入試=勉強をして学力を上げること」が前提でありながらも、受け方や科目、出願日程を考えて組み合わせていくと、いろいろなところにチャンスが転がっています。ただ、大学ごとに様々な入試制度があり、それを理解して活用するのは本当に難しいと思います。受験生はそこまで考える余裕がないと思いますので、保護者の皆さまにも制度を知っていただき、「意外とこういうのを受けられるんじゃない」という助言やバックアップをしていただくと受験生の負担が減り、家族全体で入試を乗り越えていけると考えています。
受験業界として年内入試・推薦入試がトレンドです。そのためには早くに大学選びを行い、受験に備える必要があります。高校1~2年生のうちに大学案内やオープンキャンパス、全国で行われる大学の入試説明会などの機会に足を運び、見比べていただくと、それぞれの大学の特徴が見えてくると思います。
片山政利さん
片山政利さん(以下、片山さん):
入試についてお聞きします。うちの子は理系の学部に進むと思うのですが、理系の英語の試験方針などがあればお伺いしたいです。
宝田将志さん
宝田さん:
同志社大学の入試は、英語で受験学部に関連する専門性を測るものではありません。理系学部の試験で文系の題材を出すことがありますし、その逆もあります。文理関係なく英語は大事だと考え、様々なテーマが出題されます。
同志社大学の英語は、「長文問題が長くて読むのに時間がかかる」とよく言われます。理由は英語の基礎力を重視し、単語力があるか、精読ができるか等を見るためです。一つひとつ丁寧に読み解いていこうとすると時間が足りません。単語帳に載っている一つ目の意味だけでは読み解けない問題もあり、分からない単語があったらひとまず読み飛ばし、前後の文脈から言葉を類推して読み解いていく力も必要です。
厳しく聞こえるかもしれませんが、単語力や熟語、構文などの基礎固めをきちんと行うなど努力すれば点数に反映されるように作問しています。受験生からすると大変ですが、それをクリアしてきた学生の皆さんは、ベースとなる学力を生かしながら、学部の学びの中でも応用していけたり、入学してから困らないように様々な学びができるように考えています。
岡﨑美紀さん
岡﨑美紀さん(以下、岡﨑さん):
推薦では英検などを持っていたほうがいいのでしょうか。英検以外にも何かあれば教えていただきたいです。
宝田さん:
受験では英検やTOEICなどがよく使われます。ただ、同志社大学の一般入試では検定試験結果による加点はありません。他大学であれば、英検等で何点を持っていたら加点やみなし点となるケースもあります。語学に自信がある方、英語の検定試験の結果をうまく活用したい方は、英検やTOEIC等を受けて点数を持っていると様々なところで応用が利く可能性があります。あとは、ベネッセが行っている中高生向けの英語検定「GTEC」を入試で使える大学もあります。
英検やTOEICは外部試験なので、そのための勉強や費用の負担が必要になります。高校生の方は大変だと思うので、1~2年生のうちは高校内で受験可能なGTECで学習し、受験期になり志望大学がGTECを使えるのであればそのまま継続。GTECが使えない大学であれば、英検・TOEIC等の指定された外部試験を2年生の終わりか3年生の春先に受けるという考え方もあります。外部試験の受験時期が遅いと、結果が出るのが入試に間に合わなくなる可能性があるので注意してください。
片山さん:
今日は今出川校地に来ていますが、理系は京田辺校地にあるとのことで、交流などはあるのでしょうか。
宝田さん:
交流として代表的なのはサークルや部活動です。サークルや部活動は、文理関係なく行われています。サークルのボックス棟と言われる部室の集合施設が今出川校地と京田辺校地の両方にあり、曜日で練習する校地を変えたり、共通で活動したりしています。2校地間を走る無料シャトルバスや電車も多く、それらを利用して、京田辺校地で勉強してサークルのために今出川校地に来るという学生もいます。私は大学で野球をやっていたのですが、専用グラウンドが京田辺校地にあるので、今出川校地で勉強したあとに京田辺校地に行っていました。
あと、同志社大学では学園祭が年2回開催されます。今出川は「EVE」、京田辺は「クローバー祭」と言い、校地の枠を超えて様々な学部やサークルが模擬点等を出店しています。
授業では全学共通教養教育科目があり、その科目を取るために今出川校地に理系学生、京田辺校地に文系学生が行くこともあります。距離は離れていますが、交流する機会は多いです。
片山さん:
無料シャトルバスは片道どれぐらい時間がかかるのですか。
宝田さん:
道路の混み具合にもよりますが50~60分程です。その時間で仮眠したり、勉強したり、学生は自由に使っています。