気になる! 観光列車
ケーキ列車で行こう

今にも雨が降りそうな天気も、カメラを構えればちょうどよく晴天!いざ、会津若松へ出陣!


  寒っ!! 薄手のスプリングコートを軽々とすり抜けた冷気に思わず、身を小さく震わせる。4月8 日、in 郡山。4月といえど福島はまだまだ冬が居残っており、頬をかすめる風からは春の気配を微塵も感じないーー。
 とりあえず、電車のホームを目指すと、そこには黒と赤に色づけられたファンシーな電車、「フルーティアふくしま」が既に待ち構えていました。磐越西線・郡山-会津若松間を走るカフェ列車です。まだ中には入れなかったので先頭の、電車の顔と浮かれ気分でシャッターをきりまくります。クラーク博士のポーズやおしとやかポーズで遊んでいると、いつの間にかカメラを構える女性や男の子が増えていました。完全予約制で36 席しかない、この列車でなんでこんなに人が? 頭に疑問符を浮かべつつ、場所を空けると一斉に電車の正面や番号を一眼レフで撮り始める人々。鉄道おたくの皆さんでしたか。早めに写真を撮っておいてよかった。
 パシャパシャパシャ……てっちゃんたちの無数のシャッター音に見送られて、ゆっくりと動き始めた「フルーティアふくしま」。終点・会津若松までの1時間、何をして過ごそうかなと悩む暇もなくケーキの入った白い箱の登場。このケーキこそが、この観光列車の醍醐味。むしろ電車に乗りながら、ケーキを楽しみたい目的の人が多いはず! 乗車した人全員の顔がほころんで、一気に柔らかい雰囲気が広がります。今回は4月ということでイチゴのタルトですが、季節によって扱うフルーツは変わります。私はフルーツタルトの中でもイチゴを使った方が絶対に美味しいと信じているので、このタイミングで列車に乗るキッカケをくれた『izumi』に感謝です。箱を開けるとさわやかな春の香りが鼻にふれ頬が緩んで、全身の力が抜けていくようです。脱力スイーツエステですね、日々の疲れが癒されます。ところで、箱の中には味の違うイチゴのタルトが2つ、仲良さそうに身を寄せ合っていました。「インスタにあげてもいいのよ?」とドヤ顔で言うように。ごめん、私インスタやってない。

ケーキは2品味わえます。箱に入ってくるので食べきれない場合はお持ち帰り可能です。なんと親切な。

 
 ここで、この2つのケーキについて食レポです!
 一つ目はチョコタルトの方から。こちらのケーキはチョコレートクリームをベースにしていながらも甘さ控えめ。舌に残りすぎない甘さの上にイチゴの後味さわやかな香りが鼻に抜け、しつこくないスイーツです。さらに味の魅力だけでなくタルトにも魅力があります。このケーキは薄い層が積み重なったパイ生地に支えられているため、歯にさくっと楽しい食感が響きます。チョコレートを使ったケーキで、且つ後味さっぱり、フォークが止まりません。
 二つ目はイチゴレアチーズタルトです!2つともタルト?と侮らないでくださいね、先ほどのものとは全くの別種類ですから。なぜなら、こちらの生地は歯ごたえ重視のクッキー生地。歯にザクザク反発してくる感覚にはまります。また、レアチーズは薄めと感じさせておきながら、しっかりまろやかな味。イチゴはどうやらこのケーキでは、甘酸っぱく主張強めでチーズとバランスとって、舌でとろけます。イチゴが主役なケーキはこっちかも。
 

本音を言うと、マグカップもちょっとほしい。使わないくせに欲は強いのです。


  カフェタイムの終わりを惜しむように最後の一口。食べ終わっちゃいました、残念です。それにしても乗る前は、ケーキ2つなんて食べられるかしら、なんて心配していたのに、杞憂に終わりました。2つとも小さめのケーキで、味も全く違うのでいけます。さて、会津若松までは1時間、スイーツに舌鼓をうっていたら、時間はあっという間にもう半分切りました。座席の窓が広いので外を眺めて物思いにふけるもよし、ドリンクバーでティータイムをするもよし、本でも読んでゆっくりするもよし。ガタンゴトン、ガタンゴトン……静かなテンポで進む列車は、乗る人の心を落ち着かせてくれる空間です。山々が多い田園風景を見ながら考え事をしたいところですが、せっかくなので列車内を探検しましょう。「フルーティアふくしま」の座席は全部で36席、すべて完全予約制です。2人席であったり1人席であったり、家族で来ても1人で来ても、快適な列車の旅ができます。ちなみにすべて大きな窓があるのでどの座席でも福島の自然風景になごんで、眼の保養ができます。それから、なんと列車内にはお土産を買うところもあります。福島の地酒、フルーツジュース、「フルーティアふくしま」の特製グッズ。ここでしか売っていないとなると、ついつい購買欲をそそられるのが人の性。やっぱりクリアファイルとピンバッジをお買い上げ。本能には逆らえないと思ったところで、シックな黒いウェイトレス姿の、従業員のお姉さんに声を掛けられました。
「面白い電車がこれからくるので、よかったら窓の外をご覧ください」

どこかの旅番組風のグラビア写真。ケーキも完食、紅茶やコーヒーはドリンクバーで悦に浸り、降りたくない。


  なんだろうと思いつつ外を見ると、少し離れたレールに白い電車。透明な窓からは座り心地のよさそうなソファ、テーブル席、ワイングラス、そして手を振る向こう側の人たち。瞬時にいなくなってしまいましたが、「四季島」という電車だそうです。それにしても気品と高級感があふれていて、手を振る方々がブルジョア貴族に見えました。あ、写真撮ってなかったー。
 あと15 分ぐらいで白虎隊の地、会津若松。なんともいえない寂しさを感じつつ外を見ると、灰色の雲に地面に雪。あれ? 明らかに宮城より気温低そう。なんならあの山でスキーができそう。私の一抹の不安は的中していました。4 月の上旬に桜が散っていた地域からしたら信じられないかもしれませんが、この時は会津の桜、まだ完全に咲いていませんでした。てっきり宮城では咲いていたので、満開じゃないかと思っていたのですが自然ってわかりませんね。桜前線は会津だけ飛ばしてあせって宮城に来てしまったみたいです。あわてんぼうさん。なんて考えにふけっていたら、列車はゆっくりと動きを止めました。
 

鶴ヶ城に寄ってきました。桜はやはり満開にはちょっと遠い。冷気が身に沁みます。


 いやはや、無事に到着しました。着いて早々「赤べこ」だらけです。ケーキ食べて景色見てぼーっとして、時の流れは早いですが実際の流れ方はゆっくりとしたもので永遠に線路が終わらない気持ちでした。だとよかったんですけどね。さあ、皆さんもぜひスイーツを味わいながら旅がしたくなったら、静かなひとときを過ごしたくなったら、いつでも列車はお待ちしています。じゃあ、私は喜多方ラーメン食べてきます。
 
P r o f i l e

母里真奈美(もり・まなみ)

東北学院大学4年生。新幹線をはじめ電車の中では全く眠れない。なにかしていないと気が済まないため、本を読んだりゲームをしたりしたいが、乗り物酔いをしやすいのでやっぱり大人しくしている。
ちなみに、新幹線のスジャータアイス大好き。

※「気になる!○○」コーナーでは、学生が関心を持っている事柄を取り上げていきます。


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