本屋で洋書の仕入をしていると、アメリカやイギリス、シンガポールで同じような本が人気になっているのを見かける。世界ではこんな本が読まれているんだな、と想像しながら読むと面白そうな本をご紹介したい。
まずは海外で10~20代に人気のYA小説ジャンルからの一冊、Far from the Tree 。グレース、マヤ、ホアキンの高校生3人は幼くして養子や里子になっている。お互いの存在を知らずに育った3人が出会い、少しずつ仲良くなるのが読みどころ。里親制度、家族の絆や高校生の妊娠といったシリアスな話題を扱いつつ、明るくスピーディに進むので読みやすく、放課後の様子などアメリカの高校生たちの生活が伝わる楽しい一冊だ。
一方、Educated はオバマ元米国大統領が絶賛して大ベストセラーになった実話。聖書の教えを厳格に守り、山奥で完全自給生活を目指す父は、著者の女性を学校に通わせないどころか出生届も出さないでいた。子供を危険にさらし続ける両親に苦しんだ彼女は家族と決別、なんとケンブリッジ大学で博士号をとるまでに成長する。自ら人生を切り開くこと自体がeducation(教育)だった、という一言で締めくくる著者がカッコいい。
最後にご紹介する本FACTFULNESS は冒頭にクイズ形式の質問がいくつかあるので挑戦してみた。みなさんもぜひ!
Q.世界人口のうち貧困に暮らす割合は何%?
Q.初等教育を受けられる人の割合は?
など、分かっているつもりで答えるとどんどん間違えてしまう。正解は本書をご参照いただくとして、思い込みではなくデータに基づいたファクトを用いて世界情勢、環境問題、貧困といった課題への判断材料にする大切さを教えてくれる。ビル・ゲイツも大絶賛。日経BP社から邦訳も出版されているので、ぜひ気軽に店頭で手にとってみては?
海外に30店舗持つ書店チェーン・紀伊國屋書店で洋書仕入に携わるバイヤー。子供のころはインターナショナルスクールで学び、洋書は日常生活の一部。
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