気になる! マルマン
自由な手書きを支える

 

マルマン株式会社
商品の情報はホームページにて

 文字を書く、絵を描く、メモをとる。誰でもどこでもいつでもするこれらの行動は、ある物に支えられています。そう、紙とペンです。最近の電子化の波に押されつつも、私たちが自分の手で自由に描くこと、書くことを変わらずに支えてくれる企業があります。
 細い細い道を抜けて、スケッチブックでお馴染みの文具メーカー、マルマンの本社にやってきました。入口の会社名の横、玄関のマット、エレベーター。まだ中には入っていませんが、既に黄色と深緑の2色の柄が目に入ります。マルマンの洗礼を既に受けているようですね。それでは、中にお邪魔します!

 紙のテーマパークのような空間――ショールームに入った瞬間、まさしくそう思ってしまいました。特大サイズの図案スケッチブック、広々と並べられた多くの紙の山、綺麗にディスプレイされた高そうなノート……どこを見てもノートやスケッチブック。「あれは何だろう」「何か書いてみたい!」と妄想しているだけで一日が終わってしまいそうです。
  • 特大スケッチブック、二人で持っても重いです。
    (左側:マルマン 遠藤恒夫さん)
  • お邪魔したショールーム。宝の山。手前にあるのは、マルマン・図案スケッチブックと同じく60周年を迎えたホンダ・スーパーカブとのコラボバイク。可愛い!

 さっそくマーケティング部の藤本稀一さんと遠藤恒夫さんに、マルマンの商品を紹介していただきました。まず、マルマンといえば思い浮かぶあの2色のスケッチブック、図案スケッチブックを見ていきましょう。と、その前に、有名な黄色と深緑の2色のデザイン誕生のきっかけをご存知ですか? あの有名なスケッチブックの表紙は、青山学院大学の学生さんの持ち込みなのだとか。学生さんがデザインしたと知ると、急に親近感がわきますね。
 2018年に60周年を迎えた図案スケッチブックのデザインで、多くの期間限定商品が開発されていました。クリアファイル、大小様々な図案スケッチブック、スマホケースなど、ディスプレイにはあの2色があまりに多くて、目がチカチカしそうです。
 個人的に気に入ったのは、食べ物型スケッチブック。ケーキ、アイス、チョコ、ドーナツ、ポテトスナック、皆さんが大好きなおやつがスケッチブックになっています。その中でも特に好きなのはスケッチチョコ。これは特大サイズのスケッチブックを消しゴム並みの小ささに裁断していくので、手間がかかっているとか。もしも大学生協で売っていたら、普通のチョコと間違えて買ってしまいそうな再現度の高さです。それにしても、食品をモチーフにするとは、発想力に驚きです。
 ひと山、ふた山、さん山……。白い紙の山がたくさん並んでいる机にたどり着きました。よく確認すると、どの山の紙もそれぞれ違いがあるようです。ご厚意に甘えて、それぞれ試し書きをさせていただきました。さて、何で書きましょうか。悩んでいたところに、「おー!」と思わず歓声が起こってしまうぐらい、藤本さんが多くの種類のペンや色鉛筆、クレヨン、Hから最大9Bまでの鉛筆も持ってきてくださいました。極太の9Bの鉛筆は、マルマンが最近新しく取引を始めたLYRAという海外メーカーの商品です。私と編集部の大塚さんが鉛筆で盛り上がっている時の藤本さんのドヤ顔がいまだに忘れられません。


 さて、つるつるで薄めのもの、凸凹のある厚めのもの、特徴が違う紙ばかりです。この種類についてうかがいました。例えば、私たちが普段ノートをとるルーズリーフの紙を見てみましょう。このような紙を筆記用紙と呼び、厚さの種類には60、70、80、90(g/㎡)があります。マルマンの筆記用紙は、どんなペンを使っても、インクがほとんどにじまない、さらに裏面にうつらない設計になっています。私のように筆圧が強い人、もしくは万年筆愛用の方には、80(g/㎡)の厚い紙がおすすめだそうです。紙とペンでノートをとるアナログ人間に思いやりのある設計ですね。
 私は図案スケッチブックのような、凸凹の紙が一番好みでした。描いている時のペンを通して伝わる感触に飽きがきません。それと、凸凹の表面の紙を塗りつぶすと、不思議な模様が現れてきます。小さな山が並んでいるような、海が波打っているような、それでいて畳の目のような、様々な模様に見えてきて、浮かび上がる模様に不思議な魅力を感じます。何故でしょう。
「この模様はどのようにつけるのでしょう?」思わず漏れた質問には遠藤さんが回答してくださいました。模様は紙を作る過程に遡ります。紙を作る時に、水分を搾取する工程で(羊毛)フェルトをプレスするそうです。その際に、フェルトの凹凸が紙面に残ります。これがまさしく凸凹の正体です。なるほど、この模様に温かみを感じるから、抱きしめたくなるのですね!
 この模様が見られる画用紙や水彩画用の紙を使うと、絵に奥行きや濃淡をつけられます。模様の目が粗いものは風景画、目の細かいものはイラストやペン画に使います。このような紙はあらゆる紙の中でも特殊なので、オリジナルで作ることは大変です。しかし、大きな販売シェアをもっているマルマンなら、これを作ることができるのです!
 ところで、図案スケッチブックには裏表の区別があるそうです。ここで読者の皆さんの期待を裏切りましょう。ざらざらの方がオモテです! 驚きですよね。でも、そこを間違えると製作者の方々、並びにスケッチブックの凸凹に失礼なので、この事実を広めましょう。私が先陣を切ります。

 さて、試し書きを一通り終えたところでノートづくり体験をさせていただきました。紙の種類を選び、ワイヤーでノートをまとめます。紙が切り取りやすく、ページがめくりやすいリングは、もとは完全な丸ではなく楕円形のワイヤーです。これを特殊な機械で力を調整しながら丸くしていくのです。と言うだけなら簡単ですが、実際、力を入れすぎたリングは、細くなり、ページがめくりにくくなります。意外に繊細でナイーブなリングなのです。遠藤さんがお手本を見せてくださり、「やってごらん」と軽く私におっしゃいました。慎重に謙虚におとなしく……恐る恐るやってみたところ、なんとかきれいにできました。今年の目標はこれでいきましょう。
 このほかにも、今回はたくさん商品を拝見しました。その中でもおすすめのノートをご紹介しましょう。それは、ニーモシネ(「Mnemosyne」)というノートのシリーズです。黒い表紙に黒のリング、金色のロゴが箔押しされ、見た目からしてスマートです。
 例えば、大学の教室を想像してください。ものを置ける面積が小さく、且つゆるい傾斜のある机。そこでA4のノートを広げて板書をとろうとすると、字が書きにくいことはありませんか。そこで、ニーモシネの登場です! A5のような小さいサイズや横置きタイプがあるので、幅が狭く傾斜のある机でもメモがとりやすい。この大きさだとバッグの中も占領しません。なにより、ページを切り取る時もミシン目がついているので、力を使わずきれいにページをはがせます。万が一、落書きをしてしまったノートを提出することになっても安心。そのページだけ切り取っちゃいましょう。以上、izumiショッピング(※架空の団体です)でした。

 という感じで、マルマン本社は、文章ではまとめきれないほど創意工夫、ユーモアにあふれていました。最後に、図案スケッチブック柄のエレベーターと一枚記念撮影。大丈夫、許可はいただいています。遠藤さん、藤本さんに特別にお土産をいただき、優しく見送られて、私たちは本社を後にします。来た時よりも、マルマンへの尊敬、日々使う文房具、紙への感謝が一層強くなって……。

 

マルマン本社のエレベーターの前にて。
 

 
P r o f i l e

母里 真奈美(もり・まなみ)

東北学院大学卒業生。元いずみ委員。最近社会人になりました。まわりの同期の筆箱の小ささに日々驚いています。筆箱をぱんぱんにつめているのは私だけです。それでも、私はぱんぱんの筆箱をやめません。その方が地に足をつけて頑張っている感じします。って考えるのは私だけ?

※「気になる!○○」コーナーでは、学生が関心を持っている事柄を取り上げていきます。


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