いずみ委員の留学レポ

任 冬桜

 どうも! いずみ委員の任です。今年の夏、短期留学する機会をいただき、イギリスはロンドンで怒涛の3週間を過ごしてきました。
 ところで留学というと皆さんはどういうイメージを抱くのでしょうか。語学留学とか? 大変? でも夏に大勢で行けば旅行気分かも。期間の長さで違いはあるの? など色々考えられそうですね。長さ、場所、時期、何を勉強するか、「留学」と一言で言っても十人十色の体験です。なので私の留学自体が皆さんそれぞれが思う「留学」には当てはまらないかもしれません。実際私は帰国してから友人にどうだった?と聞かれると、とりあえずの答えとして「楽しかったけど、勉強はつらかった!」を連発しました。よくあるコメントです。でも個人的には、多くの経験や驚きが重なって混じり合ったひと時をこうまとめてしまうのもなんだか切ないのです。とはいえ、自分でもこの留学について引き出せていないことが多いので、『izumi』を読んでいる皆さんとシェアしつつ、自分でももっと多くのものを引き出せたらという思いです。

   

おなじみビック・ベンは工事中。ダブルデッカー(二階建てバス)もあってザ・ロンドンな一枚。


 まずつらかった部分から、勉強の話からしましょう(笑)。私が3週間通ったのはロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)。日本ではそんなに知られてはいませんが、ノーベル賞受賞者や各国リーダーを輩出する社会科学の超名門。日本の所属大学の紹介で来たのですが、その栄華と、普段の学期に開講されるコースを夏もそのまま行うということから選びました。しかし、現地生が一学期かけて単位を取得するコースを短期間で取るのは一大チャレンジ。もともと日本で専攻している社会学の要素も入った、国際関係論のコースを取りましたが、毎日論文を二、三本読みながらレポートの準備も行うのは骨が折れました。あと英語だとレポートもごまかしが利かず、いつも以上に構成や論の立て方に気を揉みました。
 しかし何より違うのが教室の雰囲気。コース受講者は30人ほど、2大勢力はアメリカと中国でしたが、インドやトルコ、オランダからの学生も。担当の先生も「世界の縮図だね」とコメントするほど様々なバックグラウンドを持つ人々が勢ぞろい。しかもゼミが講義とは別にあるのですが、講義中もサッと手が上がり、単純な事実確認から自分の体験に基づいた意見まで発言が重なり、気づいたら議論になる雰囲気は初体験でした。日本ではあまり見ない光景に驚愕するとともに、世界で同年代の人々がこんなにも自分の意見を戦わせられると知って正直くらくらしました。 結局滞在中は相変わらずチキンハートで、講義中はあまり発言できず心残りです(ゼミは頑張りました!)。
 とはいえ、最初かなり苦しかった課題も2週間過ぎる頃にはコツを掴んでちょっと楽ができるようになり、レポートもなんとか出せたし、テストも撃沈しない程度で終われました。何より日本にずっといるとなかなか知ることのできない、世界中の大学生の学びの態度を垣間見ることができていい経験になりました。帰国しても留学中に感じた課題に向き合い続けたいと思えたのが一番の収穫かもしれません。
 そして勉強が楽になっていくと同時に、留学先をエンジョイする気持ちも比例して上がりました。なんてったってベストシーズンのロンドン。意外にも雨は少なく、気温も20度前後ということで、勉強に疲れたら速攻おさんぽモードに切り替え、気持ちよく街を歩きました。面白いスポットはたくさんありましたが、やはり特筆すべきはロンドンが誇る各ミュージアムでしょうか。ご存知大英博物館ではおなじみロゼッタ・ストーンを始め、各古代文明の秘宝がこれほどかというほど展示されていました。ナショナルギャラリーではダ・ヴィンチからゴッホまで、オールドマスターの絵画が勢ぞろい。日本で展覧会を行えば混雑で一瞬しか拝めないような品々ばかりです。 しかもほとんどのミュージアムが入場料無料(!)なので、市内を駆け回ってはしごしました。
  • LSEのパブです。勉強も励みつつ楽しむことも忘れないのがLSE生です。
  • 日曜日のバッキンガム宮殿。この日は世界陸上の競歩女子のゴールも兼ねていて、観光客も大盛り上がり。
  • 新たなシンボル、ロンドン・アイ。
    ちょうどお月さまも綺麗な日でした。

 あとはたくさん本屋に入りましたね……とにかく目に付く本屋には入りました。日本にはない本がたくさんあってとにかく楽しい。ふかふかのソファもたくさんあってずっといられる……。ああ本屋はどこの国でも天国。日本の書店ではできないだろうなと思って洋書ジャケ買いなども理性を捨ててやりました。おかげで今回の留学中、一番お金を使ったのが本だと思います。
 イギリスといえば 食べ物が話題になりますが、私個人としては、それほど苦しみませんでした。確かに「日本の味」ではないかもしれませんが、イギリスならではの美味しいものもたくさんあります。一年中ベリー類が採れるので、いちごやブルーベリーはお得な食べ放題状態。乳製品も安く、濃厚なクリームをつけたスコーンは幸せそのもの。紅茶へのこだわりはもちろんですが、年がら年中コーヒーを求めてさまよう私としてはロンドンのコーヒーショップの多さに感動。そしてイギリスで飲むといえば、やはりパブ 。パブではグビグビ飲むというより、大きなパイント(約568ml)で注文してテラスや店を出た歩道のところでおしゃべりしたり、人間観察をしたりしながら思い出した時に一口、二口とのんびり飲んでいる人が多いです。ちなみにお勉強していた大学は都心ど真ん中でミニマムなキャンパスですが、それでも2軒ほどパブがあって、学生も先生も楽しく飲んでいました。揚げたてのフィッシュ&チップスにエールビールは最高の組み合わせ。帰国後もときどき禁断症状がでます。
  • アフタヌーンティーしました!
    なんでピースなのか、もっと優雅なポーズを思い付かなかったのか、自責の念に駆られております。
  • お気に入りの本屋さん。もともと旅行書が専門のお店だったため、国・地域別に棚分けがされ、眺めるだけで旅行気分です。
  • ハイド・パークではピーター・パンの像とご対面。思ったより若い?

 ……と書いてみて、自分でもやはり楽しかったのかと安心(笑)。辛いことは楽しいことを打ち消しません。両者が混ざり合って作り上げられた私のロンドン像、それが留学で得られたものだったのかもしれません。短期間だったので、まだまだロンドンのことをよく知らないだろうし、勉強面でも拾えなかったことはたくさんあるでしょう。それでも、周りのロンドンっ子たちと同じように、昼下がりに公園で本を広げ、芝生に触れ合った夏のひと時、私も今ロンドンの一部なんだなという確かな実感がありました。それだけで何か、私がそこにいたことに意味があったように思えます。

 

リージェンツ・パーク。芝生の上でのんびりする、そんなささやかな幸せを気づかせてくれたのがロンドンです。

 
P r o f i l e
任 冬桜(にん・とうおう)
東京大学文学部3年。イギリス文学にどハマり中。これまでのマイベストは『嵐が丘』。


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