第3回 ペン助のうただより 2017年冬号

 

「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」

目覚めたら息まっしろで、これはもう、ほんかくてきよ、ほんかくてき
明け方に雪そっくりな虫が降り誰にも区別がつかないのです
恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の恋人の死
いつかみたうなぎ屋の甕のたれなどを、永遠的なものの例として
それはまみ初めてみるものだったけどわかったの、そう、エスカルゴ掴み
恋人のあくび涙のうつくしいうつくしい夜は朝は巡りぬ


『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』
穂村弘
 

 みなさんこんにちは。今月はいつもと趣向を変えて、ある連作の冒頭六首をドドンと引用してみました。
 

連作ってなぁに?

 連作というのはひとまとまりになった短歌のこと。たとえば今回紹介した「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」は二十八首の短歌で作られた一つの作品=連作です。プロが発表する短歌は連作形式がほとんどで、たいていタイトルもついています。大体はこの連作が集まって歌集になります。
 

連作の楽しみ

 短歌を覚えはじめた頃、ペン助にとって短歌は一首で完結しているものでした。それも間違いではないのですが、アンソロジーや歌論書で一首ずつ読んだあと、同じ歌を歌集で読んでびっくりしました。
「連作のなかだとイメージが変わる!」
「歌の間に何かが見える気がする……」
 たとえば一首目と二首目。夜明け前に目を覚まし、息の白さから窓にかじりついた「私」の姿を二首から想像しませんか?
 あるいは四首目に出てくるウナギのタレが六首目の昼夜の巡りと呼応して、少しずつ変化しながら繰り返される永遠が見えるような気がしませんか?
 もし「今月のうた」でいいなと思う歌があったら、歌集を手に取って前後の歌も見てみてください。きっとその歌の世界が何倍にも広がっていくと思います。

 

今・月・の・う・た
 
君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ
北原白秋『桐の花』
泣くおまえ抱けば髪に降る雪のこんこんとわが腕に眠れ  
佐佐木幸綱『夏の鏡』
青森のひとはりんごをみそ汁にいれると聞いてうそでもうれしい
雪舟えま『たんぽるぽる』

ハッピバースデー地球!って感じ 初日の出はカーテン開けただけで特別
ペン助
 

ー 掲・示・板 ー

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