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支えよう地域の力で ~ほっかいどう若者応援プロジェクト~

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困窮する一人暮らしの学生を「食」で救おう!

支えよう地域の力で

大学生協の調査では、2年に及ぶコロナ禍で「バイトがない」「仕送りが減った」という経済的な厳しさや、「友達と会えない」「部活や交流の機会がない」といった孤独感を訴える学生の姿が浮き彫りになりました。北海道内には52の国公私立の大学・短大があり、地方や道外出身者が多数学んでいますが、特に一人暮らしの学生が節約のために食事の回数や量を減らすという窮状が明らかになりました。

こうした学生にまずはご飯を食べてほしいと、2021年1月に「ほっかいどう若者応援プロジェクト」が設立されました。連合北海道、北海道労働者福祉協議会、北海道生活協同組合連合会、大学生協事業連合北海道地区を中心に、企業・団体・道民から協賛・寄付を募り、北海道や大学所在地の自治体の後援を得て、困窮する一人暮らしの学生の暮らしと心を支える「食の支援」を行っています。

活動内容と流れ

プロジェクトの主な内容は、一人暮らしの学生に、米をベースに缶詰など日持ちする食材をセットにして配布する食材支援です。併せて、生活一般・アルバイト雇用関係など困り事に対する相談先情報の冊子を配布しました。

2021年2月、北海道大学で1,000セットを用意した「スタートアップ! 第1弾」から4月以降7月にかけて実施した「全道各地へ! 第2弾」の取り組みまで、道内19大学24キャンパス、8,330人に「食の支援」を届けることができました。このうち大学生協のある13大学18キャンパスでは、一人暮らし学生の4人に1人にあたる6,430人分を配布しました。10月13日~12月23日に行った第3弾では、道内17大学21キャンパスの約5,900人、1月以降3月にかけて新たに8大学への「食の支援」セットの寄贈が決まり、延べ44大学53キャンパス、総数で1万5千人分を超える「食の支援」を届けることができました。

3月から開始した協賛・協力への呼びかけに、道内の企業・団体・個人の皆さまから約3,300万円(そのうち地域で集められた600万円を超える寄付金は、地域実行委員会が配布数の拡大や配布食材の充実、生協のない大学への独自支援事業に活用しています)に上る協賛寄付が寄せられ、さまざまな支援物資も頂きました。

地域の力で学生を支える

このプロジェクトは、北海道における緊急事態宣言の発出により日程の大幅な見直しを余儀なくされましたが、開催へ向けた各大学生協や学生、大学関係者の尽力により、当初予定していた全ての大学での実施を果たしました。また各地域では、地元の大学はもとより企業・団体と新たなつながりを築くことができました。

地元大学に通う学生に地域の力で支援を行うこの活動には、若者の地元定着や道内企業の人材確保などの課題解決、さらには地域の活性化につなげて、人口減少時代における持続可能な地域社会の構築に寄与していきたいという願いも込められています。将来の社会の担い手となる大学生が、これからの地域に関わる大きな力となることが期待されます。

プロジェクト実行委員会を構成する4団体は、「助け合い」の組織です。それぞれのネットワークが連携して、地域に支援の輪を広げました。そして、その輪は、地元の市民有志、NPO、農協、飲食店、自治体などにも波紋のように広がり、文字通り「地域の力で」コロナ禍の不安に直面する学生たちの「食」を支え、「心」を支えたのです。多くの方々の善意に支えられ、プロジェクトによる「食の支援」事業は、さまざまな成果と課題を確認して、1年間にわたる活動を終えることになりました。学生たちから寄せられた喜びと感謝の声、困難な状況に立ち向かう彼らの姿、そして皆さまから頂いた温かいご支援を心に刻み、「ほっかいどう若者応援プロジェクト」は、新たな視点でこれからも若者・学生を応援していきます。

①公立はこだて未来大学支援の前のようす ②若者応援プロジェクト準備
③「食の支援」支援者と学生の集合写真 ④ 2021.7.15 はこだて未来大学食糧配布

大学生協の存在を大きく感じたコロナ禍での貴重な経験


公立はこだて未来大学3年
新保 冴弥しんぼ さやさん
(同大学 生協学生委員)

緊急事態宣言発出と前後して入学したので、入学式も新入生歓迎会も行われませんでした。私自身は賄い付きの学生下宿に住み、生協学生委員会にも所属したので、辛うじて人とのつながりがありましたが、アルバイト収入減で生活が厳しい人、友達づくりもままならない人が大勢いました。

今回の「ほっかいどう若者応援プロジェクト」では、私たち学生委員も運営に回り、食材を袋詰めし、配置にも気を配りました。当日、来場した学生さんに「助かります。ありがとうございます」と言われ、とても温かい気持ちになりました。学生に手を差し伸べる大学生協の存在を大きく感じ、コロナ禍では最初の世代である私たちが、今後も後輩を助けていきたいと思いました。

*ほっかいどう若者応援プロジェクト事務局次長・大学生協事業連合北海道地区常務理事 須田正樹さん、
コープさっぽろ理事 吉田千恵さん、同プロジェクト共同代表・北海道生協連会長理事 麻田信二さんへ取材を行いました。