「Campus Life」vol.73

ポストコロナに向けて

全国大学生活協同組合連合会
武川 正吾 会長理事
(明治学院大学教授 / 東京大学名誉教授)

第8波が通り過ぎようとしている。本誌が刊行されるころには収束していることを願うが、あしかけ4年に及ぶマスク生活のなかでコロナ禍に馴れっこになってしまった嫌いもあるから、まだ予断は許せない。2021年、ゼミ生に「来年には合宿ができると思う」と述べたところ、学生諸君から「先生は去年も同じことを言いました」と返されてしまった。油断は禁物である。

とはいえ今回は、これまでの感染爆発とは異なる徴候もある。対面授業の再開、行動制限の要請なし。予防接種も進み、治療薬の供給も始まった。欧米では都市封鎖前の生活に戻りつつあり、ゼロコロナ政策を続けてきた中国も制限緩和に舵を切ったという。マスク生活は続くが、日本もポストコロナの局面に移行しつつあるといえそうだ。

ポストコロナはプレコロナと同じではない。大学生活における一例をあげると、この間に学生・教師のあいだでDXが進んだ。LMS(教育用のICT)は以前から整備されていた。しかし若い教員は別として、ほとんど利用されることがなかった。ところが遠隔授業を強いられた結果、学生・教師双方の技術が向上した。意図せざる結果である。対面授業が再開されてからもレジュメはZOOMで画面共有されるようになった。コピー機が時代遅れとなりつつあるのだ。

これは些細な例だが象徴的である。この間に時間が圧縮的に進み、いろいろなことが変化したのである。そうした変化を見究めることにこそ大学生協の未来があると思う。

全国大学生活協同組合連合会
武川 正吾 会長理事
(明治学院大学教授 / 東京大学名誉教授)

「Campus Life vol.73 これからの未来を創る学生たちへ」に寄せて

全国大学生協連
全国学生委員会
(2022年度)
中川 雄貴

新型コロナウイルス感染症の拡大が始まった2020年春、私は3年生に進級する時期でした。学年歴から1カ月遅れて始まった大学生活、しかもオンライン。2年間過ごした大学生活とは大きく異なり、大学にも行かず友達にも会えず、さらにアルバイトもできない状況でした。2021年の4月には私の大学では少し対面授業が再開されました。オンラインと対面の両方で授業が始まりましたが、空き教室が使えないため家と大学を行ったり来たりするような生活を大学生は送っていました。

そんな中、大学生協はお弁当の宅配を行ったり、新学期にはオンライン説明会を開催したりと、社会や大学生の生活に合わせて事業や活動を変化していきました。私は新学期アドバイザーとして大学生協に携わっており、どうすればオンラインでも入学準備を安心して行ってもらえるのか、仲間とたくさん考え実行してきました。本誌の12ページからの店舗のリニューアル情報の中にも社会の変化に合わせて、学生組合員が安心して大学生活を送れるための店舗づくりの想いが詰まっています。

その店舗づくりで大事にされているのが“組合員の声”です、本誌を読んでいるとたくさん出てくる「組合員の生の声」、組合員の大学生活で感じる不安の声や店舗が利用できることの喜びが載っています。コロナ前もコロナ禍も変わらず “組合員の声” が大学生協の中で大事にされていることが感じられますね。これから先も新型コロナウイルスによる影響はあるかもしれませんし、生活の仕方も変わるかもしれません。それでも大学生協は学生組合員の声を聴き続け、学生組合員と一緒により良い大学生協・より良い大学生活を作っていく姿であり続けることが大事になっていくでしょう。

全国大学生協連
全国学生委員会(2022年度)中川 雄貴


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