西南学院大学續木先生インタビュー

プロジェクトに参加している学生から

清水:
續木先生ありがとうございました。ここからは、実際にプロジェクトに参加している学生にも話を聞いてみたいと思います。実際に参加してみて子どもと触れ合う中で感じたこととか、この活動に対するやりがい等をお話していただきたいと思います。

池田さん:
最初に活動を知ったのは、先輩方が私達の授業の中でボランティアについてお話してくださる機会があって。大学生になってからボランティアをしてみたいなあと思って色々なボランティアサークルを廻ったんですけども、他と違うと思ったのがさっきも言われていた長期的なビジョンを持った活動であることです。何年も同じ学校に行って、そこから少しずつ広げていくというボランティアの形が私にとって新しい発見でした。是非私も関わってみたいなという想いもあったし、単純に子どもとか運動とかが好きだったっていうのもあって、それであまり考えずに飛び込んでみたんです。でも、考えないで飛び込んだにも関わらず学ぶことがたくさんあって。

私は今までで2回カンボジアに行ったことがあるんですけど、カンボジアに行くまでの活動は、パッと見て何をやっているのかよく分からない活動多くて。例えば、カンボジアで運動会をした時には、日本で集めた寄付物を子どもたちに参加賞としてプレゼントしているんですけど、そういう鉛筆だとかノートだとかの数を地道に数える作業とかが多くて、私の中でもモチベーションが下がった時期があったんです。でも、実際にカンボジアに行って子どもたちに手渡すと、本当に嬉しそうに受け取ってくれるんです。この瞬間のために地道な作業があったんだとか、そういった気付きが自分の中で達成感に繋がりました。

でも、活動をしていく中で悩みが出てくる時もあります。例えば、カンボジアで運動会をしている時に気温がすごく高い時があって、学校にもよるんですけど日陰とかが全然ない学校とかもあって。「暑くない?」とか「ちゃんと水飲んでる?」とか生徒が生徒に言っているような状況だし、ついには「こんな環境の中で運動会をしていくことって正しいことのだろうか?」と生徒が話していることもあって。こんなふうに、常に疑問とか迷いとかを持ち続けながら活動していくことで活動はもっと良くなるんだと思います。それは行ってみて気付いたことなので、やっぱりカンボジアに行って良かったなとすごく感じます。

伊藤さん:
私は1年生の時はこの活動には参加していなくて、違う環境に身を置いていたんですけども、1年生の最初の時に先生が授業でこのプロジェクトのお話をして下さった事が、ずっと頭の中に残っていて。元々から人の役に立ちたいという気持ちはずっとあって、それを実現出来ていない状況で自分は本当は何がしたいんだろうと考えた時に、そう言えばこのプロジェクトがあったなということを1年生の終わりに思い出して飛びこみました。

この活動に精力的に関わるようになったのは、私もやっぱり先輩の影響が強いです。先輩方がすごく真剣に子どものこととか運動会のこととかボランティアのことについて、もう辞めましょうと言いたくなるぐらい熱く話されていて、大学生ってそんなに熱くなれることってあるのかなって、その姿を見た時にこの先輩たちは本当にかっこいいな、と思って。なんでもいいからこうやって熱い想いをぶつけ合える仲間がいて、しかも国境を越えて人の役にたてることはすごくいいことだなと思ったのが、この活動を頑張ろうって決意した理由です。

活動に参加して実際にカンボジアに行ってみて感じたことは、自分が思っていたよりもカンボジアの子どもはすごく心が豊かと言いますか、私たち日本人が忘れかけているような心を持っているなと思いました。私達は鉛筆とかノートとかをもらっただけでは、「うわ〜嬉しい!明日からこれで勉強が出来る!」とまでは思えないじゃないですか。でも、鉛筆とかノートが入った袋を手渡されてすぐに袋を開けて、「こんなの貰ったよ!」と友達と言い合っているカンボジアの子どもの姿を見たら、忘れちゃいけないことを思い出させてもらえている気持ちになります。こんなふうに、ボランティアをしている側の私たちが逆にカンボジアの子どもから学ばせてもらっていることが多いので、本当に月並みな表現になってしまいますけど、行ってよかったなと本当に思います。

今は就職活動中でなかなか活動の方に集中することは出来ないんですけども、就活が終わったら絶対もう一度カンボジアに行こうと決めています。そこでまた、去年出会った子どもたちの成長した姿とかが見られたらすごくいいなあと思っています。先輩方がカンボジアに行って「あ!あの子大きくなってる!」とか、「〇〇君がすごい成長していたよね。」と話しているのを聞いるんですけど、私もそんなふうに、カンボジアの子ども全員を見ることは出来ないですし、カンボジア全てを変えることは出来ないんと思うんですけども、一つでも一欠片でもそういうことに貢献出来たらいいなと思っています。

清水:
やりがいを強く感じて、本当に活動を楽しんでいるんですね。續木先生、参加されているメンバーがこんなふうに思っていることを聞いてみてどうですか?

續木先生:
「カンボジアに行きたいな」と思う理由はみんなそれぞれかなと思うんですけども、カンボジアで活動する中で、みんなが持っている考えをぶつけ合えるというのはやっぱりすごいなと思いました。どれが正解ってことはやっぱりないと思うので、それぞれの想いをぶつけあっていく中で見え方が広がっていって考え方が広がっていき、活動自体をより良いものへと改善していくのはこの活動の良さかなと思います。

そういう意味では、この2人は「全部やったよかったー!」で終わらず、この支援の仕方で本当に良かったのか?ボランティアって何なんだろう?豊かさって何なんだろう?幸せって何なんだろう?というように常に意味を問い直していて、壁にぶつかっては毎回一生懸命に悩んでいるんだと思います。カンボジアでの活動をそこだけで終わらせないで持って帰ってきて、問い続けて答えを出していこうという姿勢を持っていて、さらにそれを1人じゃなくてみんなで解いていこう!という雰囲気の中で活動できているのは、この活動のもう1つのいいところなのかな、と思います。

清水:
みなさんの話を聞いていて、参加している学生自身もこの活動を通してかなり成長する部分もあるのかなと思いました。そこで成長した学生がやがて社会人になって、この活動で学んだことを大切にしていくことで、想いが少しずつ広がっていくのかなと思いました。